RE/MAXエージェント 奥林です
今回は「パッシブ理論で既築住宅に快適環境を_風と日光を利用する」の最終回となります
前回のブログも同じような題名だったのですが、結局は最後までたどり着くことが出来ずに“続く“となってしまいました
つくづくとではありますが文才の無さが悲しくなりますが、嘆いていても仕方がないので今回こそ終了と決めてブログ更新致しますので宜しくお付き合い下さいませ
と、いいつつ前段からスタート
先日にもブログで書きましたが、古くからの付き合いがあるY常務とそのスタッフに蔵書を持っていって戴いた安心感からか爆買いの病が再発し、さして広くも無い書斎の蔵書がパンク状態におちいりました
新書、古書構わずにペラペラと試し読みを行い、気になる本は丸抱えしてお会計を繰り返していた結果、まだ読み切れていない積読本が山になっています。
朝の散歩で公園のベンチで、はたまたトイレ、浴槽につかりながら隙間時間を探して読書をしていますが、購入量に読書量が追い付いておりません
教養書やビジネス書は言うに及ばず、古典文学から小説までジャンルを問わずの本好きで大型本屋さんにいるのは至福のひと時ではありますが、古書店のかび臭い独特の空間も大好きです。蔵書の中には「死ぬまでに行きたい世界の図書館」なんてのもありまして、映画ハリーポッターのロケ地としても有名なオックスフォード大学・ボドリアン図書館や、オーストリアにあるアドモンド修道院図書館_スペインのエル・エスコリアル図書館等の写真を見ながら密かに渡航計画を練るのが楽しみの一つでもあります
さて前置きはこのくらいにして本題に入りましょう。
まず日射利用について
日射に関しては単純に南面を優先的に窓を大きくし取得すれば良いのですが、残念ながらそう簡単には行きません。幾つかのクリアしなければならない問題点があるからです
1.外壁と比較して窓の断熱係数が低いと言う事
2.冬季の日射取得は良いが夏季のオーバーヒートにも留意しなければいけない点
3.既築住宅では採光面を広げるには大掛かりな工事となり、マンションの場合にはそもそも工事が出来ないこと
イラストはYKK_HPより
新築住宅であれば、設計段階から間取りに留意し使用部材(窓の断熱性能)をハイレベルにすれば良いのですが、既築住宅の開口部を大きくする場合には壁面の増改工事を行はなければなりません。高気密高断熱住宅において開口部を広げる工事を行う場合には根本的な性能を劣化させる可能性が高い事から、当初の施工会社もしくは勉強熱心で腕の良いリノベーターリフォーム業に相談するのが一番安心です(この場合には価格のみを選択基準にしてはいけません。特に機密性能は使用部材もさることながら職方の技量に左右されるからです)それ以外でも大規模改修工事、時に開口部を広げるような工事は防水処理や気密性などをきちんと処理しなければ、のちのち後悔することになりますので技術は勿論の事、知識と経験豊富な業者に依頼する事が大切です
採光条件を検討する場合には以下に記載する点は確実にクリアしたい所です
まずは窓から入ってくる日射しのコントロールが必要ですが、冬と夏では太陽の高度が違うので、日射の角度も異なります。そこで、日射の角度に応じて、庇や窓の大きさといった建物を、開口部の方位や日照データを集積し冬は日射しを取り込み、夏は遮蔽できるよう設計を行う必要があります
窓はガラスの使い分けも大切です。窓ガラスには、日射取得型と日射遮蔽型があります。高断熱を意識した場合にはLow-Eガラスが優先的な選択肢となります。Low-Eガラスとは金属膜をコーティングしたガラスを用いたもので、そのコーティング面が室内側か室外側かによって日射を取得するか遮蔽するかの違いがあります。コーティング面の選択により窓カラーもグリーンやブロンズなど色の選択肢があり、選ぶ色合いによって日射取得や遮蔽の比率も変化します。また建物全体の印象に関わる外壁との色バランスにも注意したい所です
季節や時間帯などでその都度、日射を調整できるブラインド、オーニングなどの日よけとなる部材を活用することも効果的です。カーテンなど室内側に設置することが一般的ですが、日射遮蔽の場合は、外部に設置する方が効果的です。外部で日射を遮蔽した方が約2倍も遮蔽できることがわかっています。
イラストはYKK_HPより
窓の高さによる採光の違いは高い窓位置(ハイサイドライト)と低い窓位置(ローサイドライト)に分かれます。部屋の奥まで光を届かせたい場合にはハイサイドを、光を床に導き反射させ落ち着いた雰囲気を作りたい場合にはローサイドが適しています
写真_VELUX HPより
北側面での採光を検討する場合にはトップライト(いわゆる天窓です)が有効です。採光面や外観の意匠性等においては秀逸なトップライトではありますが漏水や清掃のしにくさ等の問題が付きまといます
窓本体の商品性能については、製造メーカーの努力により飛躍的に改善されてはいますが、最近では施工レベルの問題による漏水事案を耳にします
さきに述べたように、知識と経験が豊富な業者の選定が大切です
また開口部を広げ日射取得を増加させて場合には、夏場のオーバーヒート対策も予め考えておく必要があります。手の届く範囲であれば後付けでカーテンやブラインドを後付けする事が出来ますが、ハイサイドライトやトップライトの場合には足場がなければ取り付けが困難になるケースもありますのであらかじめ検討しておく必要があります
続いて風の流れ、いわゆる通風計画ですがお住いの地域の風の流れを、まず理解しなければなりません
無風状態の箇所に開口を設け、窓を開け放っても室内を循環してくれる訳ではありません
立地による特異性を確認して夏は南から北へ風が流れるように、冬は上階に溜まった暖かい空気を下階に、循環させる方法などを検討します。風の流れは、室内空気が対角線上の窓から押し出される圧力の差を利用した「風力換気」や、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降しようとする性質を利用した「重力換気」があります。
昔からの住まいの知恵で、京町家の坪庭などは気圧差を利用して涼風を流すという方法を経験則から応用しているのですから驚きです。エアコンの無い時代、いかに自然通風の利用で夏場を快適に過ごせるか考えた先人の知恵には頭が下がります
その地域の卓越風や風の特徴をの調査には気象庁の㏋で「風配図(ふうはいず)」が調べられるので、総合的に検討してゆく事が出来ます。但し隣地等の建築の影響により通風は影響を受けておりますので風配図を念頭に置きながらも、実際のご自宅の敷地内をどの様に風が流れているかを確認する事が大切です
また窓の開き勝手にも考慮しましょう。単純な引き違い窓の場合には意識する必要はありませんが、最も気密が弱い外建具がこの引き違い窓です。気密性を重視してサッシを新設した場合には縦や横の滑り出し窓を採用される事が多いと思います
この場合には通風を上手くキャッチして室内に取り込む(ウィンドキャッチ)を考慮して開き勝手を当初から検討しておく必要があります
風の地域特異性と宅地特有の風の流れ、そしてサッシの開き勝手により風を捕まえれば残るは室内をどの様な経路で通風させるかの検討です
「通風計画」と聞いて「?」となり、その後に言葉が続かない業者さんとはお付き合いしない事が賢明です(それ以前に風配図の時点で脱落しているかとは思いますが)勉強熱心で技術力の高い業者さんであれば通風シミュレーションをあらかじめ展開してくれるはずです
住宅性能を引き上げ(断熱性能と気密性)熱源機をエコな物に変更し、日射取得を有効に活用し暖房光熱費を削減
通風計画を検討し自然の風を室内に取り入れ冷房費を削減する
どの様な立地・建物の状態でも自然エネルギー活用住宅つまり今回の主テーマであるパッシブハウスを実現する事は可能です(無論、建物の状態により提案する箇所も変わりますので費用はかかりますが)
ご興味ございましたらRe/Maxエージェント 奥林までお気軽にご相談下さいませ