RE/MAXエージェント 奥林です
さて先日のことですが、新聞を読んでいて面白い言葉に出会いました
「空き家トリアージ」
言葉としては、まだ定着していない新しい表現だと思います
トリアージ_医療関係者であればすぐにピンとくる言葉
そもそもトリアージは医療用語として使用されており、患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定して選別を行うこと(原語には医療に限らず一般的に重要で最初に扱うべき者を選別決定することを含んでいる)もともの語源は「選別」を意味するフランスの単語であるトリアージュ から紐づいていると聞いたことがあります
大規模な事故発生時において患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定などにおいて用いられる。識別救急とも呼ばれているそうです
映画や小説などにおいて
「先生、あちらの方が重篤です」
「あの患者はもう助からない。我々は万能じゃないんだ、正確にトリアージに徹しろ、助けられる命から助けるんだ!!」と、言われて救急医療の現実と理想のはざまで葛藤する新米医師なんてシーンが想像できます
さて「空き家トリアージ」に戻りますが
空き家対策問題の解消を目的として主に過疎化地域を空き家問題を解消するために、先駆者として(株)三友システムアプレイザルが毛呂山町と連携協定を結び空き家対策支援事業の一環としての「空き家調査員育成プロジェクト」を始めたのが最初だと記憶しています
地域活性化への貢献を標榜している私としては、このプロジェクトの推移をマスコミ発表の当初から興味深く見守っておりました
このプロジェクトは空き家所有者の利活用意思決定の補助を目的として「空き家調査員」の育成と利活 用方法を簡便に分類する「空き家トリアージ」手法の開発を主眼としており
① 「空き家調査員」育成講習会の開催 ② 「空き家トリアージ」手法開発検討 ③ 空き家問題への啓発
① 空き家調査の座学・実地講習会の開催(TV、新聞取材を通じた地域への広報) ② 調査物件に対する「空き家トリアージ」検討会の開催と検討会の結果を 反映した「空き家トリアージ」フォーマット・マニュアルの作成 ③ 空き家問題の啓発を目的とした事業成果報告会の開催
上記活動を積極的に行っているようです
さて2020年7月30日に、北海道において月形町が「地方創生に関する包括連携協定」を道内地銀大手行である北海道銀行と締結し、月形町における「空き家調査員育成プロジェクト」事業を実施するとの発表がありました
プロジェクトには毛呂山町での活動実績からでしょう(株)三友システムアプレイザルが参画し空き家調査員育成を行うとの事です
もともとが「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」(国土交通省の補助事業)ですが、そこに銀行が関与したのが面白いと思います
良く言われる対応年数ですが、石造りを中心とする欧米の既築住宅(英国の木造田舎家でもそうですが)150年と比較して、日本の木造建築は30年程度とされています
それだけ既築住宅に対する日本建築の不動産評価が低い
これは木材の大敵とされる高温多湿の気候が木材の腐食を早めると言った日本独特の気象条件から紐づいた都市伝説の様な物ですが(無論、根拠はあるのですが)
本来、木材は建築部材として秀逸です。切り出してから200年かけて徐々に強度が上がり、以降1000年近くを経て切り出した状態まで緩やかに強度が落ちてくると言う性質を持っています
但しこれは使用する木材の質を見極め(樹齢や乾燥状態等)適材適所に最適な木材を選定し常に乾燥状態を保つための通風を確保した、技術を持つ職方が造った古民家において言える事であって
乾燥不十分の木材を目利きせずに使用し、林立させた住宅に当てはまるものではありません
私達、不動産業界の負の遺産とも言うべき物ではありますが、使い捨ての住宅と言うイメージが中古住宅の不動産評価を低減させ
不動産融資を受ける場合の担保評価においても、金融機関はシステマティックに築年数から評価判定を下すので筑後150年の古民家に融資を積極的に行おうとしません
欧米諸国では不動産オーナーのメンテナンス記録を重視し、適切にメンテナンスが行われた場合にはその工事内容を判断し適正評価を金融機関が行うので筑後150年の住宅でも、相応の住宅融資が受けられます
言葉だけが先行し実際に活用しきれていない日本のZEH住宅も、躯体寿命の長い高品質な住宅を建築して適切なメンテナンス記録の提出を義務付け、将来に向けて既築住宅の評価が欧米並みになるようにと言う素晴らしいコンセプトです
ところが国交省を抑えて経産省が旗振りをしたZEH住宅補助金は、その潤沢な予算に反比例するように予算余りの状態が続いています。さて、何故でしょう?(これを語りだすととても長くなります_今回のブログテーマから大きく逸脱しますので、別のブログでご説明いたします)
閑話休題
「空き家トリアージ」に銀行が関与するところが面白い、まで話をもどさせて戴きますが
銀行としては、空き家の状況把握および再利用を図り、移住・定住者を増加させることにより不動産売買の活性化による住宅融資、他の関連業務増加を図ろうと言うのが狙いかと思います
空き家調査員は町・商工会・社会福祉協議会で組織される育成プロジェクト実行委員会の加盟者を中心に育成して組織され
1.再利用可能
2.改修やリフォームをして再利用可能
3.再利用不可能だが安全・衛生上問題が無い
4.安全・衛生上問題があり直ちに取り壊しを要する
の四段階に色分けし、それぞれに応じた提案を行うとの事
故郷である北海道の人口流出を憂い、地域活性化を心から望む私としてもこれらの取り組みは大賛成です
ですが・・・
所有者が何らかの理由で放置している空き家をトリアージして4段階に分けたのは良い
ところが新しくリノベージされた家に、町内からの入居者が移住しても放置空き家は1件解消されますが、総体的な人口が増加する訳ではありません
当然として道内の市町村や他府県からの移住者を誘致しなければなりません
家があれば人が来るか?_そう、簡単にはいかないでしょう
リタイアして田舎暮らしに憧れている方の誘致だけでは人数に限界があるだろうし
若い人を誘致するには雇用創出の問題が付きまといます
コロナ騒動以降の急激なリモートワークの台頭により、ネット環境さえ構築されていれば仕事は出来る事が証明はされました
テレワーカーの誘致はまず狙いたいところです
では次に何があるか
月形町は現在
総人口3093人(男1570人_女1523人)世帯数1638世帯
観光スポットは月形史跡としての樺戸集治監の囚人の労役、典獄達の功績の跡
樺戸集治監の開監から廃監までの39年の歩みを展示した歴史資料月形樺戸博物館
月形温泉(何度も行った事がありますが、ここは良いですよ)
月形杉保護林を有する円山公園
皆楽公園キャンプ場(ここも、おススメ)
夏は風光明媚で自然にあふれとても良い所です
さて冬は・・・
明確な理由がなければ札幌から出向こうとは思いません
北海道に限らずではありますが、積雪地帯にお住いの方は皆ご存じかと思います
車による冬季の長距離移動はプライベートにおいて極力控えるからです
特に月形町は山間に囲まれた集落であり、道中山間部からの山卸の風(地吹雪)が発生したら車が立ち往生します
毎年、閉じ込められた車中でエンジンが切れ極寒の中、生と死の狭間を経験したり
自宅から僅か数十メートルの所で車が立ち往生し、自宅に帰ろうと車を置いて前が見えずにお亡くなりになっありと言った事故が、毎年の様に起きているのが北海道の大自然なのです
国民的ドラマ「北の国から」で竹下景子さん扮する雪子と吉岡秀隆さんが演じる純が大雪の吹き溜まりにで車が立ち往生してが遭難し、凍死寸前になっていた状態で馬ソリの馬に発見されて危うく命を助けられるシーンありましたが、あれは誇大表現では無く実際に起こりうる事なのです
ですから北海道在住の人は冬季に長距離での車移動は可能な限り控えますし、必要に迫られて移動しなければならない場合でも天候を先読みして移動するかどうかの判断をし
車内に防寒用ブラケットを常備する等の対策を取ります
都市部においてもですが、特に寒村地域の集落で大雪が降れば道路は目隠しされ視認できず、どこを走って良いか分からない(この場合電柱配置や、標識を頼りにおおよその道路を認識して走ります。ほぼカンですね)それでも走れれば良い方で、除雪車が除雪を完了するまでは日本の誇るランドクルーザーでも踏破出来ない状態になります
ネガティブ情報ばかりで恐縮ではありますが、だからこそ春の到来から雪解け、そして新緑の季節に対する”喜び”があるのです
北海道初の「空き家トリアージ」の経過
個人的に見守り、今後とも情報を発信していきたいと考えております