エージェント活動 2021.02.14 UpDate

SUNDAY, FEBRUARY 14, 2021

【もう放置は出来ない。空き家放置者への囲い込みシナリオ】

RE/MAXエージェント奥林です。


不動産業の業務として物件調査や、売り物件の視察はとても大切です。


ただし私の活動する北海道では冬季において、道路幅員6メート程度の住宅地に車で入り込むことは大変、神経をつかうものです。


雪国にお住いではない方にはイメージがつきにくいかも知れませんが、雪が降ると、道路に接する戸建て住宅の方々は敷地内の雪を道路脇に積み上げます。


さらに除雪車が道路の雪を道路両側にはね上げることから、幅員6メートル道路は幅員3m程度まで狭まり、両側は雪の壁となります。



右折や左折を行う場合には、ソロソロと車の頭を出しながら、交差道路を直進してくる車から時折クラクションを浴びながらも視界が道路をとらえるところまで進みます。


例えるなら、幅員3mの雪の迷路を車で進んでいるようなものです。


この時期は、車や人との接触事故が多発します。


このような住宅街を、車で走っているとすぐに分かるのが「空き家」です。


除雪の形跡がまったくなく、玄関までのアプローチに足跡がないことからすぐに分かるものです。


閑静な住宅地も含めて、以外にも良く見られる「空き家」


さて、全国的にはどれくらいの空き家があるのか、例によって調査してみると


総務省による「住宅・土地統計調査」によると、平成 30 年の空き家は、平成 25 年と比べ、約 29 万増加した849 万戸とされていました。


総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は 13.6%でした。


内訳では


「賃貸用又は売却用の住宅」が約 462 万戸


別荘などの「二次的住宅」が約 38 万戸


「その他の住宅」が約 349 万戸となっています。


この「空き家問題」を解消するためには、私たちの様な不動産業者の連携が不可欠と、国土交通省も捉えています。



空き家問題を解消していくには、基本的に売る・貸す・壊す・直すといった活用の促進が欠かせません。


ただし「空き家活用」が進まない大きな要因として、活用するための投資負担が重いという問題があります。


老築化により解体するにしても解体費用が必要となりますし、賃貸運用に転用を考えた場合にも、人に貸すためには外壁や屋根の改修、水回り設備の交換など数百万円の初期投資が必要となります。


「費用負担を捻出するのも嫌だし、いきなり売るのもなぁ…」と、言った悩みは特に不動産価格の低い地方において顕著に現れます。



なんせ、北海道の地方では老朽化しているものの、それなりに土地面積のある中古住宅が100万円台で販売されていますから。


100万円の中古住宅を、それ以上の金額で解体したりリノベーションすれば赤字です。


「空き家問題」は、そのような理由ばかりでもないでしょうが、気持ちは分かります。


ただし、そのような放置空き家に対する国の囲い込みは着々と進んでいます。



まずは、平成26年法律第127号「空き家対策の推進に関する特別処置法」です。


この法律では第1条の目的を下記の様にしています。


「この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。」


この通称、空き家対策特別処置法では、老築化により危険が伴うなどが常態である空き家に対して、行政が立ち入り調査を行うことを同法第9条で認めています。



所有者不明でも調査が出来るように、9条3項で所有者通知義務は立ち入り調査5日前までの所有者通知を原則としていますが、所有者に通知することが困難な場合にはその限りでは無いとして強硬調査を容認しています。


調査の結果、同法第14条に規定する「特定空き家」に指定されると、固定資産税の増加処置など行政執行法による処置を認めています。


また是正命令が発せられ、市町村長命令の処置に従わないと50万円以下の過料、立ち入り調査を拒み、妨げ、忌避したものには20万円以下の過料に処するとしています。


 


また相続した空き家を未登記にしておき、地方行政による「空き家」所有者の特定を遅らせようという人たちに対する囲い込みも着々と進んでいます。


法制審議会では2021年2月10日に、所有者不明の土地問題対策を盛り込んだ民法と不動産登記法の改正に向けた要綱を決定しました。


要綱では、土地の所有者死亡後、相続人が土地の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を義務付けることとしており、正当な理由も無く申請を怠った場合には10万円の過料を科すことにしており、更に登記名義人が転居した場合にも登記申請を義務化し、怠れば5万円以下の過料を科すとしている点です。


また地方行政も含め、現状空き家数を正確に把握するための研究会も国土交通省で立ち上がり、新たなマクロ指標の整備に加え、地域(ミクロ)の不動産情報の新たな活用方法について検討することを目的とした「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」が設置されています。


この「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」は第2回までの研究報告が公表されており、全国的にみても問題となっている「空き家問題」についても、地域詳細情報を把握する研究が報告されています。


分析方法としては、現在の「空き家」を把握するだけではなく、空き家になりそうな地域を抽出し、予め予防策を講じようとする考え方です。



「空き家対策の推進に関する特別処置法」「相続登記義務化」「ミクロ視点による空き家数の掌握」


この3つが連携すると、放置空き家に対する逃げ道はなくなります。


不動産の扱いに困っている場合には、早めに不動産のプロに相談するのが良いでしょう。


「空き家」の有効利用についてのコンサル・売却相談もお気軽にご相談下さい。


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