エージェント活動 2021.03.08 UpDate

MONDAY, MARCH 08, 2021

【ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスについて】

RE/MAXエージェント奥林です。


今回の知っている様で、以外に知らない不動産関連用語集は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」について。


この言葉、皆様には「ZEH」の方が認識されているかも知れません。


ZEH=ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスすべて同じものです。


国交省が定める「ZEH」の定義は


「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とされています。


当初計画では一定の外皮性能や高効率設備、太陽光などの創エネシステムを導入して2030年以降は「年間収支で、エネルギー消費率が概ね“0”になる住宅以外は新築の建築を認めない」と、する計画でした。


これらは地球温暖化対策計画(平成28年5月閣議決定)においても同様に政策目標を設定しています。


ZEHを皮切りとして、最終目標である2050年_カーボンニュートラル実現に向けて、国土交通省が、経済産業省・環境省と連携して、住宅の省エネ・省CO2 化に取りくんでいます。



ちなみにですが、カーボンニュートラルとはLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)と表現され、ZEHがあくまでも年間エネルギー収支0であることに対して、LCCMでは建設時、運用時、廃棄時において出来るだけ省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクル(原料生産や着工から、解体及び部材再利用まで)を通じてCO2の収支をマイナスにする住宅です。


つまり新築時から解体まで、それも躯体や部材配送の運搬トラックの排出する排気ガスまで含めてトータルでのCO2の収支をマイナスにするという、とてもハードルの高い物となっています。


LCCMは、サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)として国立研究開発法人建築研究所が先導していますが、日本においても実例は数えるほどしかありません。


2018年7月に閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」では、「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建て住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅(集合住宅を含む)の平均でZEHの実現を目指す」と明記され、当初にあげた「建築を認めない」とした方針から比べると、ずいぶんとトーンが下がっています。


その背景は実際の「ZEH」普及率にあります。


ZEHの実務を取り扱う一般社団法人環境共創イニシアチブが公式に公表している実績データは、現在のところ2019年までしか見当たりませんが…



はい、まったく届いていません。


当初計画では、2020年までにZEH50%を達成し、30年には完全義務化のはずでした。


そのために大々的なキャンペーンを張り、補助金も大盤振る舞いでしたが、実際の普及率は当初計画を大きく割っています。


そうすると、大々的には発表していませんが、目標が完全義務化から「2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現」と、さりげなく静かに変わっています。


面白いのが経産省の発表で、一部のメーカーだけを対象にグラフを作成してZEH普及率が上がっているようなグラフを公表しています。



ま、気持ちは分かりますがねぇ。


嘘ではないにしてもごまかしにしか見えません。


2021年は戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化支援事業として、2021年度の予算要求額、65億5千万円と公表(一戸あたり補助額は、令和2年度同様ZEH60万円、ZEH+105万円を予定)しています。


例年のことですが、おそらくこの予算も使いきれないのではないかと推測されます。


「通常のZEH仕様で60万円の補助金が貰えるのに、何でZEHが普及しないの?」と、質問がでそうですが、その一番の理由は


「一般住宅とZEH補助金対象住宅の差額は、60万円ではとても補えません。確実に赤字になる」からです。


ZEH要件で求められる断熱性能は正直たいしたことありません


真面目な工務店さんが、それなりの断熱材を使用して建築すれば達成できる程度です。


多少、専門的に言うと外皮の断熱性能の基準となるUA値(値外皮平均熱貫流率_住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値)が寒冷地の1・2地域は0.4で、暖かくなるにつれて緩和され、3地域は0.5、4~7地域は0.6となります。


ただし、満額の補助金を貰おうと思えば、北海道では0.24以下のUA値が必要ですが・・・それでもそんなに難しいものではありません。


高くつくのは、設備関係です。


ZEH住宅で使用することが出来る設備機器は、指定商品を使用する必要があります(正確には基準を満たす設備機器)


ま、これも各メーカーの努力により高性能商品が比較的に安価で供給されるようになりましたのでギリギリセーフです。


やはり一番高くつくのが創エネ部分


つまり、太陽光システムと蓄電池です。


一般的な30~40坪クラスの住宅ですと、搭載する太陽発電パネルはおおよそ6kW程度、メーカーや商品によって異なりますが平均で24枚ぐらいでしょう。


これにパワコンや専用分電盤まで組み込むと、設備費用は150万円前後(工事費別)ぐらいでしょうか。


はい、この時点で補助金では赤字です。


そして蓄電池。


改正FIT法により電気買取価格が見直され、売電のメリットがほぼなくなりましたので創エネ自己消費を勘案すると、5kwh以上は欲しいところですが、このクラスですと金額は100万円以上になります。


以前からくらべると大変、価格が安くはなりましたが創エネ+蓄電池で、設備価格だけで260万円を超え、これに電気工事や設置費用も加えると凡そ300万円以上の予算組が必要となります。


ZEHに関して費用も含めクライアントにご説明すると、ほとんどの方が


「地球温暖化防止が大切なのは理解出来るけど、お金を出す我々からすれば費用対効果は…」


これが、ZEHが普及しない原因です


もう一つ付け加えると、ZEH補助金申請書類の面倒くささです。


これはクライアントとは直接、関係はないのですが


現在は多少簡略化されているかも知れませんが、申請書1冊あたり「週間実話(何で実話?)」2冊分ぐらいの厚みのある申請書が必要になります。


外皮計算に設備機器関連のエネルギー計算書、着工前の敷地から始まり、断熱性能工事実施を証する工程ごと写真の添付。


新しもの好きな私ですので、ZEHが始まった初年度にこの申請業務を手掛けたことがありますが、個人的な結論は「二度とやりたくない…」でした。


全国にあるレベルの高い工務店がZEHを積極的に採用しない理由の一つには、この申請書類の煩雑さがあるのかも知れません。


不動産はもとより、太陽光システムや蓄電池・自然エネルギー活用による創エネ関連もコンサル対応可能です。


お気軽にご相談下さいませ。


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