RE/MAXエージェント奥林です。
さて今回の「知っているようで知らない不動産用語」ではホームインスペクションについて解説します。
宅地建物取引業法の改正で2018年4月より、中古住宅売買時におけるホームインスペクションの紹介・斡旋についての説明が義務化されていますので、聞いたことがある方も多いと思います。
ホームインスペクションを実施することが義務化されたのではなく、あくまでも斡旋・実施の有無の説明を義務化に留まりますので、軽く聞き流されていることも多く、法律が改正された意味も正確にご存じない方も多いと思います。
ホームインスペクションは、ホームインスペクターが比較的短時間(約60分程度)で、主に目視により行う「一次診断」です。
「1時間程度で、住宅の劣化状況が完全に分かるの?」と、疑問を持たれると思いますが
その通り
出来ません!!
多岐に渡るチエック項目を足早に目視で判定して行くだけですので、際立ったところしか目につきません。
さらに検査員のスキルにより、かなりの見落としがあるのが実情です。
あくまでも簡易的な健康診断だと思った方が無難です。
このホームインスペクション、建物取引業法では「建物現況調査」と表現されています。
国交省が求める要件としてのホームインスペクターは、既存住宅状況調査技術者(国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士)であるとしていますが、何故だか誤解を与えるような似通った名称の民間資格もあります。
ホームインスペクションの目的は、住宅の設計・施工に詳しい建築士などの専門家が(ホームインスペクター登録者)、住宅のコンディションについて調査を行い、欠陥の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に診断するものですが、ただちに建物の瑕疵(現在では契約不適合)であると判定するものではありません。
例えばサイディングなどの外壁に使用されるコーキング材ですが、コーキング材の種類により耐用年数が変わります。
この場合には目視による劣化がなくても、経過年数で劣化判定とされる場合もあります。
これは外壁についても言えることですが、例えばガルバリウム鋼板や光触媒を表面に加工したナノテクなどの外壁で、実際の耐用年数が長期に及ぶ建材でも、瑕疵補償保険のインスペクターの場合には経過年数のみでマニュアルに通りの「劣化」判定を出してきます。
日夜、高性能の建材を開発しているメーカーには申し訳ない実情です。
擁護するわけでもないのですが、比較的短時間で目視による判定を行う関係上、経過年数も判定材料とするので致し方が無い部分もあります。
判定される側としても、現況目視の調査であると理解して、直ちに建物に影響を与える確定判断を行っていると認識しないように注意が必要です。
また新築住宅の内覧会などで購入者に同行して、専門家の立場から住宅の不具合の有無を検査するのも、ホームインスペクションのひとつとされています。
ホームインスペクションは、目視による基本性能に関する診断が基本ですが、費用は住宅の種類や構造などによって異なり、目安としては5万~8万円程度となっています。
ただし、瑕疵保険を付保する場合は保険料が加わるし、耐震診断などの検査を依頼する場合は別途費用がかかります。
さらに精密な機器を使った診断や床下に進入する詳細調査などには、オプション費用がかかります。
私、個人としてもそれなりに建築に関しての知識は有していますので、ホームインスペクション実施の際には何度も立ち合いをしておりますし、新築住宅の瑕疵補償保険における検査員対応もしておりますが、マニュアル通りに軽く検査を行う人もいれば、厳密に質疑応答を求めてくる検査員もいます。
残念ながら、現在のところは建物現況における判断材料の一つに留まり、診断結果について一喜一憂しないことが必要であると言えます。
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