敬愛するリンボウ先生こと林望先生の本を読んで初めて知ったのだが、イギリスの開業医はGP登録という制度に登録して地域の初動治療を一手に引き受けるらしい。
無論、患者が高度医療を要すると判断される場合には専門医に紹介を行うのだが、この制度が患者自身にまで浸透しており、どのような症状でも素人判断をせず居住区のGP登録医に診断を願うらしい。
日本においても診療所などでは確定診断や治療が困難であると思慮される場合には、原則として診療所からの紹介状を持参して高度医療専門病院に赴くように推奨しているが、これは強制ではない。
紹介状作成費用は患者負担となるが、紹介状を持参することにより保険外併用療養費(2021年現在_¥5,500円税込)が免除されるので結果的に割安になる。
逆説的には
「割高にはなるけど、初診を受け付けない訳ではない」
「お金を払えば診察して貰えるんでしょう。払うザマス」
と、本来なら高度医療を必要としないのに待合に並ぶから、本当に高度医療が必要な患者さんが受付をしても診察がいつ受けられるかも分からず、延々と外来待ちになる(理由はこればかりではないだろうが)
体育学部体育学科出身で「解剖学」や「運動生理学」などの知識しか持たぬ門外漢の私のことだから本で読んだり聞きかじった知識しか持たぬが、どのような症状でもエリア登録医が初回の診察を行い判断を下すという制度を支えするには、登録医の苦労と責任は大変なものだと思う。
この制度が機能するためには「GP登録医」にたいして、患者の信頼がなければならない。
やはり根底にnoblesse oblige(ノブレスオブリージュ)の精神が根付いているのだろうか?
責任もそうだが、知識や経験を図るためにGP登録制度のハードルは高いようだ。
医師免許取得後の一定期間は新人医師として臨床経験を積み、一定のレベルに達したところで大学に戻り、院生のような形式でのGP研修を受け勉強しなおさなければ取得することができないらしい。
結果として、「単なる町医者」というような扱いではなく「皆が信頼をよせる地元の医師」として信頼を得る。
日本の医療システムのように専門性に分け(もちろん利点も多いにあると思うが)専門以外はよく分かりませんと言った感じではない。
医療小説も好きなことから「白い巨塔」を始め様々読んでいるが、大学病院を白い象牙の巨塔と揶揄した通り、臨床をおろそかにしてでも院内政治や学術論文を優先することが推奨される日本医療業界の構図は、あながちノンフィクションであると言えないだろう。
不動産業界においても同じことが言える。
本来であれば、高額な不動産を扱う人間は「素人」であってはならない。
ところが現行の「宅地建物取引業法」では「5の1ルール」と揶揄されるように「従業者5人にたいして1人が宅地建物取引士」であれば良く、就職したばかりの右も左も分からない新人が不動産営業の名刺を持ち高額な不動産取引が出来る。
「資格=仕事ができる」ではないが、アメリカの不動産エージェントのように日本の不動産営業が社会的な評価として「プロ」であると認知されるようになれば、不動産業界も変革を遂げていくのだろうが……
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