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SATURDAY, MAY 22, 2021

【事故物件調査】国交省が具体的な指針を公表。だが、先走ってはいけない理由

5月20日、新聞報道やネットニュースで不動産取引に関連する「事故物件」にたいする不動産業者の調査・告知に関しての指針(案)が、国交省から報道発表されたことから


「殺人、自殺は告知が必要。病死や老衰、家屋内事故による死亡は告知不要。賃貸住宅は事案発生から3年間」など、不動産業者にとって刺激的とも思えるタイトル記事が掲載され、あたかも決定事項であると誤認されている他にも、SNSに記事が転載され憶測意見が飛びかっている。



参考までのべておくが、今回の報道要旨は令和2年2月5日を第一回として継続的に実施されてきた


「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」の有識者によって検討されたガイドライン(案)にたいして、


パブリックコメントの募集が開始」されたただけである


なんら決定事項ではない。


決定される可能性があるだけだ。



ただし今回の指針策定は、私たち不動産業者にとっては革新的な取り組みである。


事故物件の取り扱いは、熟練の不動産業者でも取り扱いに懸念を示すほどに様々な配慮が必要とされ、ガイドラインが正式に決定されれば、一般の不動産業者でも事故物件の取り扱いがある程度ではあるが容易になることから、流通の活性化が期待される。


ただし、すでに公開されている「ガイドライン(案)」を読み込みもせずに、過激なタイトルの記事で一喜一憂するのは、一部ではあるが不動産業者の悪い癖でもある。


見出しは過激であっても、報道機関は「あくまでも案である」という趣旨で記事を構成している。


ところが、これらの記事を表面的になぞり、さも決定事項であるかのごとく吹聴してあるくのはあまりにもインテリジェンスに欠ける行動だと言える。



ガイドライン案は下記URLで公開されている。


https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219027


印刷しても、表紙を含め10P程度のものである。


読みこなすにもそれほど労力を必要としない。


今回のガイドライン(案)は以下のような点についての指針を決定すべく検討されている。


1.ガイドライン制定の趣旨・背景・法律上の位置づけについて

2.ガイドラインの適用範囲となる事案・不動産について

3.宅地建物取引業者が告げるべき事案について


4.宅地建物取引業者が行うべき調査について

5.事案に関して、宅地建物取引業者が告げるべき内容・範囲について


上記に記載した各論点についての解説は宅地建物取引業者向けではあるが、法律に詳しくない一般の方が見ても理解出来る程度の内容となっている。


着目すべきは、調査内容の具体的な事案を定めている点で


(1)他殺、自死、事故死、その他原因が明らかでない死亡が発生した場合


(2)自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合


上記に該当する場合に可能な範囲での調査を行う必要があるとしている。



注意を要するのは(2)において、通常生活で具現化される可能性が高い事案については告知不要であるとしつつも、


「死因が病死など自然死ではあっても、死後、長期間放置され室内の臭気や害虫の発生などが生じた事案」は、心理的瑕疵の程度が高いとして告知義務が必要であるとしている。


また告知内容も明確に定めており、売買・賃貸によらず下記内容を告知すればよいとしている。


①事案発生時期


②場所及び死因


また賃貸住宅に限られてはいるが、


告知の必要な事案発生からの経過期間を、「事案発生から概ね3年間」としている点について注目したい。


売買物件に関しては、事案発生からの経過期間についての判例も、事案により変化することから具体的な定めは見送りとしている。


また従来の「事故物件」に関連する記事を、レギュラーで執筆している「不動産のMIKATA」サイトで公開しているので、興味があれば参照戴きたい。


【心霊現象は説明責任があるか?】


https://f-mikata.jp/rosette-22/


【事故物件を売却する】重要事項説明書記載例と抑えるべきポイント


https://f-mikata.jp/rosette-9/


【実践編】事故物件の調査・査定を徹底解説


https://f-mikata.jp/rosette-6/


【心理的瑕疵に時効は存在するか?】事故物件告知の法的見解を考える


https://f-mikata.jp/rosette-4/


このガイドラインについては、現在、その内容や見解、私たち不動産業者が今回の指針から反映して必要と勘案される調査範囲まで含め、出版社2社から執筆依頼をされているほか、ネットニュースでも公開する予定となっているので後日、追加ブログとして公開させていただく。


エージェント奥林が執筆を手掛ける不動産業者必見の人気サイト_【不動産のMIKATA】


 



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*過去掲載記事一覧はこちらから


https://f-mikata.jp/author/rosette/


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