RE/MAXエージェント 奥林です。
29年間不動産を扱っているプロエージェントとして、毎回、小ネタも交えながらブログを更新しています。
今回のテーマは、一般の方にはなじみの薄い「公図」と「地番」についてです。
「公図」を理解するためには、先行して「地番」についての理解が必要となります。
単純に「地番」とは、一筆(登記上の土地個数の単位_一筆の土地が登記法上は独立して一つの用紙を設けている)の土地ごとに登記所が付する番号をいいます。
この付された「地番」が地図になっている状態が「公図」なのですが、文字で表現すると多少、ややこしくなります。
あえて一例を上げますと
地番1と言う広大な一筆の土地があったとして、その土地を10に分筆する場合を考えてみましょう。
新地番は、それぞれ順番に地番2~地番10(地番1は分筆された土地の1筆が引き継ぐ)として割り当てらたと仮定します(つまり1筆の土地が10に区画割りされ、新たに地番が割振られた状態です)
このままであれば整然として分かりやすいのですが、長い年月の間において「地番2」が隣地である「地番3」と合筆されると、新たに「地番11」が割り当てられます。
そこから数年後に、地番11が三筆に分筆された場合には、それらの宅地にはそれぞれ「地番11-1」「地番11-2」「地番11-3」が割り当てられます(これらは従前地と近隣の割り当て地番により考え方がことなります)
上記のような場合には、地番の並びは「地番1」「地番11-1」「地番11-2」「地番11-3」「地番4」となります。
長い年月ではこのような「分筆」と「合筆」があちらこちらで繰り返されますので、極端な言い方をすると「地番1」の隣が
「地番129-8」その隣が「地番35-6」と言う、まったく整合性のない地番が並ぶことになります(実際にはそこまで飛びはしませんが)
上記の「公図」は、非常に簡単な事例ではありますが、それでも従前地229から分筆された枝番「229-5」の隣接地が「229-10」や「229-3」となっているなど、順番通りに並んでいるのではないことがお分かり戴けると思います。
つまり、これらの地番が筆数ごとに土地の位置や形状を知る手段として記載されている地図が「公図」です。
この「公図」は、私が不動産業界に入ったころは正式名称として「法17条地図」と呼んでいましたが、法改正により現在においての「公図」は「法14条地図」及び「法14条に準ずる地図」の総称として扱われています。
「地番」がそのまま住所であれば分かりやすいのですが、先ほどご説明したような理由から整合性のない地番の並びが増加したことから
1.町の区域の境界が複雑で不明確である。
2.同一市町村内に同一・類似の町名がある。
3.土地の並ぶ順序と地番の順序とが一致しない。
4.同一地番の土地の上に多数の家屋がある。
このような問題が多発することになりました。
そこで昭和37年に制定され昭和42年に改正された「住居表示に関する法律」により、住居表示が実施されている地域では「地番と住所が異なる」住居表示が実施されていない地域では「地番=住所」という、なんとなく不可思議な状態が現在でも続いています。
この「住居表示が実施されているかどうか」については調査したい当該の市区町村に電話をすれば教えてくれます。
基本的には政令指定都市のような大きな市では間違いなく実施されていますが、人口があまり多くない地域においては確認するのが良いでしょう。
「公図」は管轄法務局(電算化処理済みの場合には管轄外でも可)で管理しているため、法務局に出向いて「写し」を申請するほかネット上の「登記情報サービス」で閲覧することができます。
但し「登記情報サービス」は事前登録制となっていますので、我々のような業種で使用登録している以外では法務局に出向くことになります。
「公図」の取得方法は以上です。
但し、この「公図」を住宅地図と照らし合わせた場合、その整合性のなさに驚かれることがあるでしょう。
私たち不動産業界の人間でも、入り組んだ状態での「公図」の場合には、すぐに当該「地番」を言い当てられる人間はそれほど多くありません(もちろん土地区画整理事業の換地処分後の宅地の様に整合性があり、誰がみても分かりやすい公図もありますが)
なぜかと言うと、公図においては明治時代に国有地であったところには地番が存在せず、それ以降では例え国道(国有地)であっても地番があったりなかったり、さらに市道や町道が入交りながら、さらに民間地番が入り乱れると言う地図になるからです。
実際に私のところには、知り合いの不動産業者から「公図」データと座標をメール送信してきて
「申し訳ありませんが、この場所の地番はどこでしょうか?」と、言う問い合わせがあります(地上げ交渉予定地の事前調査などの場合ですね。地権者と接点があれば予め地番を聞けばよいだけですので)
なぜこのような状態がおきるかと言うと、ブルーマップには地番が記載されていますが必ずしも全てが記載されている訳ではないからで、それ以降は相応の知識がなければ当該地を当てられないからです。
さらに、住居表示が実施されていない地域では「地番=住所」になっていなければならないのですが、通称や簡略化により「隣接する3件の家が全て同一地番で表記されている」など、住居表示がないにも関わらず地番と一致していないケースが山積されているからです。
更に街や市が道路計画などに基づいて民有地を収容しているような場合には「事件中」(事件と言っても、強盗事件などの刑事事件などでは無く、登記更新などの理由による不整合状態で公図や識別情報が更新中であるような状態を「事件」と称します)となった場合には、計画が完了するまで公図が更新されずに「事件中」となるため、事件前公図を拾っても、現状とまったく整合性のない公図になります(収容計画が半ば頓挫して、昭和53年から現在まで「事件中」のような事案もあったが、これある意味では行政の怠慢なのではないかと思いますが…)
住居表示が実施されている場合には管轄法務局に架電をして
「地番照会お願いします」と言えば該当する地番を教えてくれるのですが、それは住居表示が実施されている地域のお話で、実施されていない地域の通称で地番を問い合わせても
「ご要望にはお応えできません_ガチャリ」と、なります。
こうなると、どんなに遠方であっても現地に赴むいて土地付属台帳などを用いての調査を行うしか方法がありません(実際には出向かずに調査する方法があるのですが、プロの技ですので非常に複雑な手法となるため割愛いたします)
登記簿は地番で取得しますので、地番が分からなければ識別情報を取得することが出来ません。
そのために「公図」から当該地の「地番」を調査するのです。
この様に「公図」と「地番」の関係を知っておくだけでも、プロに近づけるかも。
このようなQ&Aも含めて、不動産に関するご相談はお気軽に
RE/MAXエージェント_hiroki.okubayashi
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