RE/MAXエージェント_奥林です
10月も後半を迎えて、私の活動する北海道においても紅葉が進み昼夜の寒暖差がいっそう大きくなりました
日によっては11月なみの寒気が北上し、初雪の予報も聞かれます
日が昇るのも遅くなってきました
加齢のためか、習慣のたまものか早朝、書斎の窓から見える真っ暗な景色を見ながらブログ更新です
何度も書いていますが、エージェント活動のかたわら出版社などからオファーを受けて様々なコラムや記事を執筆しております
今回、レギュラーでお受けしているコラムで
「栃木県に甚大な被害をもたらした2019年10月12日 台風19号被害から1年_復興と対策」についての執筆しながら、2018年9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」に思いをはせました
北海道初となる最大震度階級7の地震は、全道はもとより、私の居住する札幌市の各区においても甚大な被害をもたらしました
当時の補修活動等については、以前にブログで記載しましたのでそちらをご参照下さい
今回は地震に対する強度と言う観点から木造住宅の「耐震等級」についてご説明いたします
比較的に浸透していると思いますが「耐震等級」については、昭和56年6月1日以後の建築物を新耐震基準(それ以前は旧法)として取り扱います
つまり新耐震基準以降に建築確認が提出され施工された物件については、最低限度の耐震性は有しているとの目安となります
エージェント活動として中古住宅の取り扱いの方が多くなりますので、旧法の建築物取り扱いも数多くあります
その場合には、インスペクション提案も含め耐震性についての考え方について詳しくご説明をするようにしています
「台風19号」は1年前「北海道胆振東部地震」は2年前
それ以外にも大小、様々な災害が日本各地を襲っています
災害は人の都合を考えてはくれません
深夜、寝静まっている時に突然、襲われることもあります
住宅は家族の憩いの場であるべきですが、併せて尊い人命を守るシェルターとして性能を有していなければなりません
「耐震等級」については、その意味合いも含めて正確に説明されていなければならないのですが、どうもその思惑と剥離していると思われます
とくにですが、新築住宅を手掛けるハウスメーカーの営業マンなどは「正しい耐震に対する基本知識」を説明しなければならない義務があると思うのですが、簡単な数値(スペック)だけで説明を終えているように感じられます
知識が無いのか、他に説明することが沢山あるので割愛されているのか定かではありませんが…
そもそも基準法で定められている新耐震基準は、建築基準法第1条で定められている「人命優先」の考え方が根底にあります
【第1条(目的):この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする】
つまり耐震等級は「住宅が倒壊・崩壊」しないでは無く「倒壊・崩壊しても良いけど人命を守る」を基準としていると言うことです
後程、詳しく説明しますが
例えば
「ウチは耐震等級1をクリアしているから、地震があっても大丈夫だって営業マンの人が言ってました」と言うコメント
このようなコメントがクライエントから発せられるだけで、正しく伝達が出来ていないのではないかと考えてしまいます
耐震等級1は、建築基準法の新耐震基準での最低値を満たしているだけです
それを正しく理解して戴いていれば、上記のようなコメントにはならないと思います
新耐震基準は「耐震等級」によって表されます
机上計算(図面上の計算)で地震の大きさを2種類に分けます
「①数十年に一度の地震_震度5程度②100年に一度の地震_震度6~7」
それぞれの地震にたいして
「①では損傷に耐えうる_②の地震にたいして損傷はするが、人命を優先的に守れる程度」
実際の地震に対しての等級は下記の3段階になります
耐震等級1_基準
耐震等級2_1に対して1.25倍の強度
耐震等級3_1に対して1.5倍の強度
ここで【た・だ・し】ですが
耐震等級はあくまで机上(図面上)の計算であるということ
実際の建築において主要な構造躯体(柱・梁・土台)などを欠損させた場合には、この計算が成り立たなくなります(梁に穴をあけて、躯体欠損を生じているようなケース)
上記の写真は、電気業者が配線を取りまわすルートが確保できないため、梁に穴をあけて配線を通しているケースです
ここまで組みあがっている状態で、梁を欠損させると部材交換は出来ませんから補強材や金物により欠損部の剛性を確保しなければなりません
瑕疵保険に加入している場合には躯体検査において検査員が間違いなくNGを出しますが、検査後にこのような状態にされればノーチエックになります
工事管理者が、きちんとチエックをして補強工事を実施していればよいのですが、下手をすればこのまま断熱材が納められボードが施工されていまします
このまま施工されて完成した住宅が、机上計算では耐震等級1~3とされます
大手ハウスメーカーにありがちなのですが
建築件数の多いハウスメーカーでは分業制が取られており
営業部・設計部・工事部など各部で業務範囲が異なります
その場合に現場管理である工事部のスタッフ(現場管理者)がチエックをして、正しく補強工事を実施していれば良いのですが(もともとこのような工事をさせることが問題ですし、施主に対しても現状と補強工事の内容についての説明責任がありますが)数多く現場を抱えていて見過ごした場合などは悲惨です
机上の耐震等級が得られていません
また、この場合に電気業者が悪意か善意か分かりかねますが(私から見ればあきらかに“悪意”なのですが)知識不足でこのような施工をしてしまった場合にはペナルティーも含め適切な教育訓練を実施しなければなりません
フォローのため、設計部や営業部のスタッフが現場を回ればイレギュラーが発見される可能性が高くなるのですが
実際には分業制が足かせとなるのか、現場に足を運んでいないケースが多いようです
全てのハウスメーカーがそうだとまではいいませんが、設計部や営業部はともかく現場を回らないと言う話をよく耳にします
設計部も営業部も言い分は
【It’s not my job(それは、私の仕事ではありません)】
このような事例は実際に既築住宅のリノベーション工事において、断熱改修工事のために壁ボードを外した時に良く見かけます
クライエントに「耐震等級の欠損があるので補強工事を実施した方が良い」とご説明をしたときに返される言葉が、先にも上げました下記コメントにつながります
「ウチは施工が○○ハウスさんですし、耐震等級1をクリアしているから地震があっても大丈夫だって営業マンの人が言ってました」
もちろん大手ハウスメーカーは管理体制がしっかりとしていますし、地場で誠意ある施工をされている工務店さんも数多くあります
全てを疑う必要はありませんが、机上計算である「耐震等級」を鵜呑みにしない知識拡充は施主側にも必要があるかも知れません
「知識がないから、プロに任せているのだし…」
確かに、その通りです
そこで次回ブログでは「家族を守る耐震等級の考え方」について詳しくご説明をいたします_次回へ続く
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