お役立ち情報・ネタ 2021.02.25 UpDate

THURSDAY, FEBRUARY 25, 2021

【生産緑地について考える】

RE/MAXエージェント奥林です。


ブログをご愛読戴いている方々は既にご存じのことかと思いますが、私の活動拠点は北海道です。


ただし北海道に関しての不動産業務だけを取り扱っているかと言うと、そうではありません。


売買や査定などに関しての業務は北海道を中心としていますが、不動産コラムや投資シミュレーションの市場調査、コンサルティング業務は関東や沖縄など全国に及んでいます。


クライエントから依頼があればGoogleマップやアース・ゼンリンGISに登記情報サービスなどを駆使して、午前中は沖縄の那覇市、午後からは大阪市内などを、まさに飛び回っています。


つい先日も“ご縁”があって定期的にコラムを執筆させて戴いている、関東圏で手広く不動産会社を経営をされている社長とZOOMミーティングをした際に


「先日、とある資産家のコンサルを行った際に、その投資家さんが奥林さんの書かれた生産緑地についてのコラムを読まれていてずいずんと質問されて困りました。もちろん、分かる範囲で答えましたが…」と、言われました。


一般の方にはなじみのない用語である「生産緑地」とは、11都道府県において都市部で指定を受けた緑地や農地のことです。


東京都にも、この生産緑地は点在しています。


正確には東京都が最も生産緑地の面積が多いのです。


都市計画区域内である住宅地に、突如として点在している「農地」のほとんどが生産緑地です。



「生産緑地法」1974年に制定されていますが、目的は土地計画法(1968年制定)と併せて、1960年~80年にかけての日本高度成長期により都市部へ事業や人口が集中し、緑地保全の必要性が急務とされたことから制定された法律です。


この法律は1992年に一度改正されました。


その背景には、バブル景気に後押しされるように都市化・市街化が更に加速したことから、生産緑地が宅地化される危険を回避する意味で面積要件を500㎡に緩くする一方、生産緑地の営農義務を従来の第一種10年・第二種5年から一律30年まで引き上げました。


市街地で土地を所有していても、緑地指定を受け営農義務を履行している場合には固定資産税が農地として優遇されることから、市街地で土地を所有していても経済的負担が軽くなり、無秩序な宅地開発を抑制する意味がありました。



簡単に言うと、都心部で土地を所有していても農地として固定資産税が軽減されることから、所有による負担が少なかった訳です。


さて、この「生産緑地法」は制定以降、来年で30年を迎えます


当初の計画では指定期限満了に併せて、市街地農地の所有者は農地転用をやめて自治体に買い取りを依頼するか、もしくは他の営農者に斡旋するかの選択を行い、買い手がみつかなければ指定解除されることになっていました。


つまり今までは農地として格安の固定資産税であったものが市街地の土地として評価されることになり、費用負担からみても土地の保有を維持していくことが困難になります。


実際には自治体の買い取りの資金が困窮しているなど様々な理由から、制度自体が形骸化しているという批判も含めて、2017年に「都市緑地法・生産緑地法の改正」を受け指定30年間の期限経過後に10年単位での延長策が講じられたことから、現状では大きな混乱になっていません。


ですが延長の10年は、あっと言う間です。


今から将来に向けての対策を考えていかなければなりません。


現在における生産緑地は11都道府県の合計で約13,600haあり、2022年にはそのうち10,400haが期限を迎えるとされていました。


10年間、延長されても2032年にはこの数がそのままスライドしてきます。


広大な土地を保有している方にとっては死活問題にもなりかねない問題で、10年後に再度、頭を悩ませることになります。


実際に農業を継続していくにも、農産物価格は輸入市場に煽られており、また後継者不足や必要人員の確保など農業を維持していく上では「生産緑地法」で守っていかなければ経費すら捻出出来ないと言う現実があります。


指定解除されると、固定資産税の分だけ経費が増加します。


宅地並み課税の金額になると、広大な生産緑地を有しているほどに負担が増加します。


都市で農業を行っている方には大変な状況が目前に迫っているのです。


しかも生産緑地法指定されている農家の約45%は「相続税納付猶予」の特例を受けており、相続人が宅地として売却した場合には猶予されていた相続税と利子税を納付しなければならなりません。


それにより、指定解除期限の2032年にいきなり市場に転用宅地が一気に放出される可能性はそれほど高くないとも言われています。




遊休農地については、その担い手についても都市農家、地域事業者と都市住民による多様な 連携が必須とされ、行政も巻き込んでの解決策が検討されています。


とくに市街化区域内における都市農家と都市民の関係については、双方が抱く迷惑感の解消というレベルを超えた発想による、都市農地の活用・管理について話し合いの場を新たに設けることにより、社会的支持のもとでより積極的な協力・連携を強める方法について検討されています。


重要課題として生産緑地以外の新たな保全農地制度の必要性については、都市農地保全策の新たな強化と、食料非常時の自給用農地の確保、都市農地の減少が止まらない状況下での、生産緑地以外の新たな保全農地制度の必要性が検討されています。 


また都市農地・都市農業の特徴と計画的な位置づけの重要性については、都市緑地としての農地の特徴と幅広い都市農業活性化の可能性を模索しつつも、土地利用計画による都市農地の位置づけの重要性と都市農地の持続的な保全活用、幅広い都市農業活性化のための、計画的な位置づけの重要性について議論を高めるとされています。


これらについては現状のところ、整合性のある施策体系がなされていません。 


このブログを書くにあたり、様々な情報収集に努めましたが、急務とされるのは市街化調整区域と同様に生業として成り立つ都市農業振興の担い手育成です。


この手の知識に精通し、行政の動きを正確に把握しながらコンサルが出来る不動産業者は、私の知る限り多くはありません。


後継者問題も含めて、土地資産運用についてのご相談はお気軽に


RE/MAXエージェント_hiroki.okubayashi


090-3773-1849


okubayashi@remax-agt.net



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