RE/MAXエージェント 奥林です
先日のブログ【住宅ローンの支払いに困ったら_まずはプロに相談】を掲載したところ、相談案件を幾つか戴きました。
また士業と連携している相談済みのクライエントからも幾つかご相談を戴きましたので、今回は住宅ローンに関する思い違いについてブログ更新いたします。
過去ブログについてはこちらを参照下さい。
相談時によくある思い違い
1.住宅ローンの支払いが滞ったらすぐに退去しなくてはならない。
住宅ローンの返済が滞ったからと言って、すぐに退去しなければいけないと言う訳ではありません。猶予としては6か月から12か月間あります。
具体的に言いますと、金融機関によって異なると言う前提があるものの、3か月の延滞で
「このまま延滞を繰り返すと、不本意ながら一括弁済とさせて戴きます」
と、言う趣旨の催告通知が入るようになります。
この催告通知は「期限の利益喪失」に至るための前段です。
つまり金融機関の言い分は
「何度も催告をしているが、改善されず期限の利益喪失が相当」との判断になり、延滞が6か月継続すると「期限の利益喪失」となり、銀行から保証会社へと債権譲渡されます。
この時点で、保証会社から銀行に対しては債権が保証されますので、銀行は損をしません。
債権譲渡された保証会社は一括弁済を求めてきますが、月々の支払いに困っている方が一括弁済に応じることは困難です。
従って、その後6か月間「任意売却」を行い、それでも解消できない場合には競売へと進む形になります。
つまり
初回延滞から6か月間(金融機関による督促)
以降 6か月間(保障会社による任意売却期間)
以降 競売申請(初回延滞から12か月後)と言う流れになります。
前回ブログでも記載しましたが「任売」は「競売」と比較しても高値で売却出来る可能性が高いことから、残債(残債務-任売価格)も圧縮出来ます。
残債に関しての支払い方法も、交渉により「支払い可能な金額」まで下げることが出来ます。
補足ですが「競売」「任売」どちらの方法でも、売却をした結果の残債が免除される訳ではありません。売却により残った債務は、支払方法を交渉の上、返済する義務があります。
2.住宅ローンの支払いができなくなっても半年後のボーナスで支払えば大丈夫。
これは完全な思い違いです。月々において約定された金額を支払うのが金銭消費貸借契約における債務の履行であり、そこには「遅延を認めてまとめ払いする」などの要素はありません(先行しての繰り上げ返済は、遅延ではなく先払いです)
3.住宅ローンの支払いができなくなったら金融機関に相談できない。
コロナ解雇や業績不振による賃金の低下、急な疾病など長期間で返済を行う住宅ローンは、その返済期間中に返済が一時的に厳しくなることもあります。
その際に、一番に最初に相談するのは、融資を受けている金融機関です。
親族などに、一時的に貸借して返済を行うなどの方法も検討されますが、一時しのぎ的な回避策では、いずれ息詰まる可能性が高まります。
延滞をする前に(数か月、延滞をしてしまうとすでに当人の信用状況は低下しているので、元金据え置きや支払期間延長などの相談には応じてくれません)
まず、相談に行きましょう。
参考までにですが、ローンの支払いが厳しくなった時に相談に応じるのは、金融機関の「義務」です。
2009年に施工された「中小企業円滑化法」は、中小企業のみならず個人の住宅ローンについても、返済が厳しくなった場合には「返済条件を見直すことが義務付けられています」つまり、リスケ(リスケジュール)の義務化です。
金融機関がこの法律に違反した場合には、罰則規定が設けられています。
金融機関のホームページでは探さなければ分からない深い階層に、この「住宅ローンの支払いに困ったら」とのページを掲載しています。
金融機関からすれば、目立つところに相談ページを設けて「支払い相談の件数が増加」すると実質的な業務量が増加することから、気持ちも分かります。
ですが遠慮する必要は一切ありません。
困ったときは、迷わず相談に行きましょう。
4)住宅ローンの支払いを1回でも滞ったらブラックリストに載ってしまう。
使い古された小ネタではないのですが、ブラックリストと言う「黒いノート」が存在している訳ではありません。
金融機関が加盟している個人信用情報機関における信用情報です。
金融機関によって多少異なりますが
全銀協(全国銀行個人信用情報センター)
CIC(クレジット系・貸金業法指定信用情報機関)
JICC(株式会社日本信用情報機構)
などに加盟して、個人の信用情報を開示・共有することにより、貸し倒れリスクの防止や融資額の検討に利用しています。
個人の返済状況は記号で表記されています。
例えばCICの場合には下記のような記号が使用されています。
$.請求通り返済が行われている(良好)
P.一部入金
R.債権者以外による入金
A.顧客事情による未入金
B.顧客事情との関連性のない未入金
C.理由不明未入金
-.利用無し
空欄.クレジット会社の更新が無い場合
この様な記号が、返済期月ごとに記載されています。
参考までに、この個人信用情報は、所定の方法に基づいて本人が開示請求を、おこなうことが可能です。
5)住宅ローンの支払いができなくなると金融機関が勝手に家を売り出してしまう。
先ほどもご説明した通りなのですが
金融機関からの催促(6か月)⇒保証会社へ債権が移動/任売(6か月)⇒競売
と、なりますので強制的に売却されるのは、延滞開始の期日から最短でも12か月後です。
それまでは、所有者の意思に反して売却を行うことは出来ません。
以上、簡単にご説明をしました。
コロナ以降において様々な企業が打撃を受け時短営業や解雇など、最終的には私たち労働者にそのしわ寄せがきています。
結果として、残念ながら経済的困窮から所有不動産を手放すことになったとしても
それは、誰にでも起こりうることです。
より有利に不動産売却の交渉を進め「新生活」をスタートさせることが大切です。
「独りで悩まないでください」
今後ますます増加すると思われる「ローン支払い困難」の相談には、時間を問わず対応させていただいております。
守秘義務は徹底しておりますので、お気軽にご相談下さいませ。
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