エージェント活動 2020.10.22 UpDate

THURSDAY, OCTOBER 22, 2020

【続_災害に備える耐震等級について】

RE/MAXエージェント_奥林です


今回のブログは前回の【災害に備える耐震等級について】続編としてお届けさせて戴きます


前回の簡単なおさらいですが


耐震性能は机上計算だから、実際の施工で主要な構造躯体に「欠け」などを造った場合には机上計算通りの性能には疑問が残りますようというお話をさせて戴きました


「では、どうするか?」


任意で第三者の設計士などに「セカンドオピニオン」として工程要所における現場チエックを依頼すると言うのも一つの方法ですが、相応の費用が掛かります


建築図面が読みこなせ、知識も相応にあるのなら自分で現場チエックを行うのも方法ですが、そのような方はさすがに多くないでしょう。



不動産キャリア29年のプロのご提案としては


「頻繁に現場に顔を出す」


ご施主様の立場であれば、遠慮する必要はありません(もちろん、工程の進捗状況により内部に入るのが危険な時もありますから、安全判断は慎重に)


頻繁に顔を出すことにより、暗黙のプレッシャーを職方に与えることが出来ると言う利点があります(分かったふりをして、釘ピッチなどをメジャーを当て図ると言った仕草が出来れば完璧です。ただし、あまりやりすぎると煙たがられるのでホドホドに)


それ以外でも、職方と顔見知りになると色々と情報も聞けるものです


現場に行ったときに分かりやすいポイントは


「現場が綺麗かどうか」


これ実は大変重要です


基本的に「現場が綺麗な職方は腕が良い」


作業している訳ですから、当然として道具や部材があちらこちらに点在しています


腕の良い職方は、その様な状況でも工程の段取りを考えて配置を行いますし、作業ごとに清掃を行うように厳しくしつけられています


これは、業界の集まりの中でも良くされる会話であり


どうやら、私の主観的な意見ではないようです


ですが、最後には契約会社(ハウスメーカーや工務店など)や施工業者の良心に期待するしかありません



施工中写真などを提示してもらえば、ある程度の工事状況を確認することが出来ますが、数多くある写真の中から支障の無い写真を提示されても、正しい施工が行われているという根拠には乏しいものです


注文住宅ならば先ほど、ご説明したように施工現場に頻繁に通い、自らチエックすることも可能ですが、建売住宅だと工事状況を確認することが出来ません



住宅における大切な部分は主要構造部分に集約されます


住宅の主要構造部分とは①基礎②構造躯体③防水処理の3点になり「住宅瑕疵保険」


もこれに基づいています(住宅の品質確保の促進等に関する法律_一般には品確法と呼びます)


基礎工事(鉄筋の緊結状態・組み合わせスパン・コンクリート被り厚)


構造躯体(各種金物の本数・使用状況・土台・間柱・筋交・胴差などに欠けや欠損が無いか・釘ピッチ)


防水工事(防水処理が適切に行われているか)


新築住宅の場合には図面上ではありますが新耐震基準を満たしています。併せて品確法に基づいて構造上主要な部分の瑕疵に関しては10年間以上(通常は10年)の補償を行わなければなりません。


 


言い方は悪いのですが、実際の施工に問題があったとしても瑕疵補償保険等の利用があれば、主要構造部に何かあっても補修には応じてくれるころになります


但しこの瑕疵補償保険は。構造上主要な部分の瑕疵にその用途を限定されていることから、地震による耐震性不足によるクラックなどには対応してくれません


既築住宅の耐震性を確認するための検査は破壊検査が最も有効です。インスペクションによる非破壊検査でもある程度、確認することも可能です


また耐震等級に限らず、例えば断熱欠損に関しても非破壊検査(サーモによる測定)を行うなどの検査方法があります


既築住宅の査定時には建築確認図面を、お借りしてチエックいたしますが明らかに建築図面と整合性が取れていないケースがあります


建築確認提出後の変更があったとして好意的に解釈するようにしていますが…



そもそも「4号特例の功罪」ではないかと思慮される場合が多いいのです


4号特例とは建築物は本来、構造計算が義務付けられていますが小規模な木造建築の場合においては特例として設計建築士が躯体の配置バランスで安全性を確認すれば構造計算を行わなくても良いと言う特例です


建築士ですから当然として建物強度に思慮している筈なのですが、机上で見てもバランスがどうも不自然なケースがあります


実際に天井点検口から確認したり、床下点検口から侵入し床下から確認してもやはり配置が不自然である


当然として躯体バランスが確保されていないので、地震があった時に一部に過剰な負荷が生じ内壁に不自然なクラックが生じている


とある震災後クラックの事案で、その設計を行った建築士は札幌市内でも高名な御大建築士でした


とある会合でお会いして


「先生、先生が設計された○○町のお宅に、リノベーションで伺ったのですが、失礼ながら躯体バランスが不自然で構造再計算でもNGだったんですが」と言ったところ


「4号建物だから、俺が大丈夫と言えば大丈夫なんだよ。そもそも4号建物に構造計算なんていらないんだから」と、暴言を言われ


得意の「チョークスリーパー」を決めて差し上げようと思ったのは記憶の新しいところです



確かに低層階(木造建築物でも3階建て以上は構造計算が必須になります)の場合には、ある程度の性能でも簡単に倒壊崩壊はしないとも言えます


ですが、意味が違うだろうと


上記の御大設計の住宅では大空間リビングをつくり出すために極端な梁せい(構造的には荷重方向の梁寸法)材を使用して、桁(2階柱や最上階の柱にかける横架材のうち梁と直行方向にかけるもののことで垂木などの屋根荷重を柱に伝達する役割)を飛ばしてアンバランスな躯体配置を行っていました


このようなケースでは、確かに地震で倒壊崩壊しませんが(耐震等級は机上クリアしています)震災の時に壁ボードが動きまくり、大空間の斜陽なリビングであちらこちらの壁に亀裂が入り、修復は家屋内部全体に及びました


もちろん倒壊崩壊していない訳ですから、基本的な耐震等級に関する条件はクリアしています


補修工事は壁ボード交換やクロス、大空間を演出する吹き抜け部分の工事に要する内部足場などを合わせると、費用は軽く100万円を超えました


住宅に個性的なデザイン性を求めるのは悪くありません


「美」を追求するのも賛成です


但し、住宅は造詣の美しさも含めて人の「命」を守るべき城であることは、プロとして常に念頭においておきたいものです


 


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