RE/MAXエージェント奥林です。
不動産エージェントとして物件売買を手掛けていますが、コンサルティングも主要業務としておこなっています。
在宅推奨により「お家時間」が増加したことに起因するのでしょうか、最近の傾向として相隣関係の紛争に関しての相談事案が増加しています。
近隣紛争には、隣地・隣家の法律的関係(相隣関係)に関する問題と騒音、悪臭、ペットの管理等などの生活上の問題に分かれます。
法律関係の問題であるため、相談先は弁護士のイメージがありますが「近隣のことだし、出来れば穏便に済ませたい」と言う意識が働くためか、不動産コンサルに相談してくるケースが多くあります。
その考え方は正解です。
知人の弁護士に聞いても「個人的感情のもつれを原因とする近隣トラブルは、法律では解決に至らない」と言っています。
法的な話になりますが、相隣関係については、民法209条から238条まで個別の規定が置かれています。
主な項目としては
袋地通行権(公道に接していない土地の所有者が他人の土地を通行できる権利。囲繞地に関する通行券権も含まれる210条~213条)
境界標の設置(223条、224条)
越境する竹木の伐採(233条)
境界付近の建築の制限(234条~236条)等が規定されており、こうした権利や義務をめぐって紛争が生じることがあります。
これに対して、生活上の問題については民法上に特別の規定は置かれていませんので、一般的な不法行為(民法709条)に基づき損害賠償請求事案として取り扱われます。
近隣紛争が私たちの様な不動産のプロに相談が持ち込まれる背景としては、弁護士が介入する一般紛争と比べ、以下のような特徴があるからです。
・感情論になりやすい。
・感情に支配され、侵害されている権利の内容が明確でない。訴訟をおこしても法的判断が容易ではないため、長期化する。
・損害賠償額も金銭的には高額でないことが多く、弁護士や訴訟の費用を検討すると時間も含めて割に合わない。
・近隣関係のことなので裁判により判決を得た場合でも、その内容により生活上の支障が生じる恐れがある。
上記の理由から、弁護士に相談する前に不動産のプロに相談して、穏便な解決策はないかと考えるケースが多いのではないかと考えられます。
近隣紛争の法的な解決策としては、本人又は代理人による当事者間での話し合い、裁判外紛争解決手続(ADR)、民事調停、訴訟といった解決手段が考えられます。
この中でも、やはり最初にあげた「本人又は代理人による当事者間での話し合い」が最も有効な手段であると言われています。
実際に訴訟を行った場合でも、例えばペットの鳴き声や深夜帯の騒音など、立証責任も困難ですが、損害賠償が認められてもその額が驚くほど少ない場合が多くあります。
また損害賠償請求訴訟の判決では、勝訴しても金銭の支払が命じられるのみですので、判決に従って実際に支払われるかどうかの保証がないことはもちろん、訴訟が終わった後に深夜の騒音やペットの鳴き声が止む保証もありません。
その場合には支払い申し立てなどの訴訟を、新たに起こさなければなりません。
それ以外にも裁判まで発展すると確執が深まり、より深刻な事態に発展するといった事例も多数あることから、頭の痛いところです。
感情のもつれは法律で白黒つけることが困難であり、代理人が間に立ち双方の意見をくみ取りながら折衷案を見出すことが最も効果的です。
第三者的な立場で訴訟に至らずに解決策を模索する、経験豊富な不動産のプロならではの業務とも言えます。
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