お役立ち情報・ネタ 2020.08.20 UpDate

THURSDAY, AUGUST 20, 2020

インスペクションは本当に必要か?

RE/MAXエージェント奥林です


何気なく不思議に思ったことは即時に調べる事を常としています


なんせ、疑問に思った事も三歩歩けば忘れてしまうお年頃なので(もともと記憶力が悪いのですが)そく調べないと、まったく記憶に定着しません


「エビングハウスの忘却曲線」の下をさまよっている(記憶は1日経過したら半分は失われるとするドイツの心理学者_ヘルマン・エビングハウスの理論)のを自覚しつつ


今回はインスペクションについて基本から解説してみましょう



【インスペクションってなに?】


建物現況調査のこと


劣化状況や欠陥の有無を、国交省が2013年に策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づき、認定団体(一般社団法人_全日本ハウスインスペクター協会・一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会・公益社団法人 日本建築士会連合会・一般社団法人 日本木造住宅産業協会・一般社団法人 日本建築士事務所協会など)により既存住宅状況調査技術者講習を受けた登録有資格者(1級・2級・木造各建築士)によって行われる調査のこと


 


【インスペクションをやれば安全と言えるの?】


インスペクションは主に目視(一部機械などの使用もあり_別料金となる場合が多い)によって行われます。あくまでも目安であると理解しましょう。ただし目視が主体とは言え、専門家による判定です。素人判断ではありませんので信頼性は格段に高いと言えます。


 


【インスペクションに対する保証はないの?】


あくまで現況調査ですので保証はありません。個人間の売買における契約不適合は保証ではありませんので混合しないようにご注意下さい。保証を望まれる場合にはJIOなどの既存住宅瑕疵補償保険などに加入する必要があります。ただしこれらの保険は事業者保険(宅建業者・検査事業者・仲介業者など)となっていますので、個人での加入できません。また加入においては事前に保険引受先による検査(瑕疵保険に加入する場合にはインスペクションは不要です_劣化判定を保険引受先が実施するため)が行われ、劣化部分に対して補修工事を行う事が必要です



【インスペクションの実施は義務なの?】


義務ではありません


ただし本年度4月_民法改正により、瑕疵担保責任が契約不適合へと変更になり


それに対応するべく中古住宅の売買時において宅地建物取引業法の重要事項説明に「インスペクションにかんする説明」が義務付けられました


説明義務は以下の通りです


1)媒介契約締結時に概要を説明し、ホームインスペクション斡旋の可否


2)重要事項説明時インスペクション結果を買主に説明


3)売買契約締結時_売買双方へのホームインスペクション斡旋の可否、調査を行っている場合には結果説明


 


【インスペクションの費用はどれくらい?】


建物の規模や調査手法、依頼先により異なりますが、5万円~10万円が目安です。また、検査に要する時間は2~3時間程度です



【インスペクションは売主と買主、どちらが行うべきなの?】


義務ではありませんので、どちらが行っても構いません。費用がかかるので行わないというのも選択肢の一つです


 


【インスペクションは行った方が良いの?】


個人的な意見ですが、絶対に行った方が良いと思います


中古であっても不動産は高額です。買主は現状においてどのような劣化状況であり、購入した後にどの程度の増改築工事を必要とするか、あらかじめ把握し資金計画に組み入れることが可能となりますし、売主はあらかじめ現況を確認することにより、契約不適合責任に備えることが出来るからです


 


【インスペクションの実施は普及されているの?】


残念ながらあまり多くはないようです


費用の負担が、実施のネックとなっているようです


買主においては居住者の協力をなしに検査ができないことから(検査には2~3時間程度は要する)買主が費用負担に応じ、売主の協力を得て実施する場合においても売買契約締結後にしか出来ないという実情もあるようです


インスペクションを行った結果、その調査内容により契約締結が出来なくなり、補修要望が生じ売主負担が増加したら目も当てられないと言うのが理由のようですが、それらは仲介業者のミスリードによるのではないかと思っています


中古住宅の売買において建築図図面の確認を行っているかどうかも疑問ですが、それ以前に建築図面が読めているかどうかも疑問です


基礎布施図・矩計・平面・屋根布施図など枚数は多いいが、慣れればさほど難しい図面では無く、要は意識の問題だと思いますが不動産取引のエキスパートであるはずの宅地建物取引士試験科目は


1.宅建業法


2.民法


3.法令上の制限


4.税その他


であり、建築物に関する設問は法令上の制限に一部含まれるかどうかのレベルなので試験勉強においては完全に蚊帳の外におかれています。実際に建築知識を学ぼうとすれば自助努力しかないのですが、どうやらそれすらも出来ていないためにインスペクションの必要性も説明しきれてはいないのではないかと思います



【インスペクションは今後、どうなっていくの?】


個人的には任意での実施率が低調な場合には、義務化になっていく可能性が高いと考えています。ですが業者に対しては強権発動を行う国交省も、個人レベルにおいてどう動いていくかは経過を見守るしかありません


性能面や劣化対策等級などにおいて高品質な住宅を作り、その経年貧家による劣化状況をインスペクションにより適正評価し、既築住宅の継続的評価の拡充と適切な財産価値の確保という目標が国交省にはあります


欧米諸国の不動産価値が、中古市場においても高い評価を得られ融資に関しても相応の担保評価が得られていますが、日本においても中古市場活性化を欧米並みにしたいと言う意図があるのです


そのために2030年にZEHが義務化による高品質な家づくり


インスペクション義務化による高品質住宅の劣化対策


上記2件に紐づく中古住宅担保価値の適正評価


と言う、図式が想定されます



【終わりに】


不動産仲介業の形も大きく変化していくと思っています


つまり、欧米並みの不動産エージェント制の確立です


諸外国の多くは日本のような仲介業者が存在せず、ブローカーに所属する不動産エージェント制で成り立っています


自分自身が信頼できるエージェントを選任し、全面的にまかせる


エージェントは独立採算で動きますので、企業論理では無くクライエントの利益の為に動きます


そこに企業の売り上げ至上主義が介入する余地はありません


私自身もエージェントとして、クライエントファーストを実践するため日々学び活動をしています


どうぞお気軽にご相談下さいませ


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