RE/MAXエージェント_進撃のブロガー 奥林(毎回、適当で申し訳ありません。続けていると少し楽しくなってきました)です
さて私の住む北海道札幌市某地域において、8月の29日夜半から降り始めた雨の降水量が著しく多くなり、30日にかけて何度も雨量注意の防災メールが携帯に届きました。
そこで思い出したのが、宅建業法が一部改正になり8月28日より施工になった
「水災に関する重要事項説明が義務化になった件」
せっかく思いついたので、今回は具体的な変更点についてご説明させていただければと思います。
重要事項説明時における具体的な義務化の内容については国土交通省から宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する“命令”ということで発表されています
宅地建物取引業法施行規則について
宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)においては、宅地又は建物の購入者等に不測の損害が生じることを防止するため、宅地建物取引業者に対し、重要事項説明として、契約を締結するかどうかの判断に多大な影響を及ぼす重要な事項について、購入者等に対して事前に説明することを義務づけていますが、今般、重要事項説明の対象項目として、水防法(昭和24年法律193号)の規定に基づき作成された水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を追加します。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)について
上記(1)の改正に合わせ、具体的な説明方法等を明確化するために、以下の内容等を追加します。
・水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示すこと
・市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使うこと
・ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましいこと
・対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮すること
私たち宅地建物取引業者は水災に関する説明資料を準備し、重要事項の説明時に購入場所に対しての説明を行うことが義務化となりました。
個人的には提案時に防災マップの説明も行っていたので目新しくもありません。
”売り”先行で、本来ならば説明を行っておくのがあたりまえの説明がされていないことによる不利益防止が、今回の義務化につながっています。宅地建物取引業法は購入者の利益保護と宅地建物流通の円滑化を標榜して免許制度を実施しており、宅地建物取引業法35条では1号から14号に掲げる事項について売買契約が成立するまでの間に宅地建物取引士による説明を行わなければなりません(無資格者は駄目ですよ)
不動産業界の慣習として契約当日に重要事項説明を行いそのまま契約に移行すると言うのが一般的です。もちろん違法ではないですが、普段聞きなれない不動産関連法規を一気に説明されてどれだけ理解されているかは疑問の残るところではあります。
実際に重要事項の説明を行い
「重要事項の説明は以上になりますが、お分かりにならなかった点や疑問はありませんでしたか?」と、お聞きすると
「良く分からなかったけど、奥林さんを信用してますから大丈夫です」と言って戴けたりする。実際、大半がこのような感じです。つまり、いきなり説明されても理解出来ない。
お言葉は有難いのですが、それで良いのか?とも、思います。
法の趣旨では「売買契約が成立するまでの間に説明」と定めているだけですので、契約締結前、たとえば1週間前に予め重要事項の説明を行っておき、クライエントにご自分で調べていただき(調べる時間があると言う前提にはなりますが)理解出来ない部分や疑問点については連絡を取り事前に解決して契約当日を迎えると言った方法でも問題が無いわけです。個人的にはこの方法をお勧めして実践しています。
重要事項説明は宅地建物取引士の専任業務ですので、複数回に渡る説明を求めれば間違いなく嫌がられます。たんに面倒くさいからでしょう。仲介業者からすれば1件の契約に対して重要事項の説明を複数回行う事による宅建士の時間的ロスや、クライエントが理解を深めれば契約締結に至らなくなる可能性もなきにしももあらず、と言ったところでしょうか?
閑話休題
河川における水災ハザードマップは洪水浸水想定区域のシミュレーションにより作成されます。これらは洪水浸水想定区域のシミュレーションにより、各都道府県や市町村など河川管理者が国交省の作成指針に基づき作成し公表するとされています。
たとえば札幌市においては区ごとにハザードマップが作成され、札幌市のホームページにおいてPDF形式で展開されています。
また川の種別などにより河川管理者が異なるので注意が必要です
石狩川・豊平川・厚別川(下流)・月寒川(下流)・望月寒川(下流)の管理者は
豊平川(上流)・・月寒川(上流)・望月寒川・精進川・厚別川・野津幌川・星置川・新川・中の川・琴似川・琴似発寒川については
これらは他府県などにおいても、河川管理者や情報発信先が異なるので注意が必要です
札幌市の場合においては下記のようなPDF方式にてハザードマップを展開してくれておりますので、重要事項の説明に添付する資料としては都合が良いのです
kozuihazardmap_chuo_minami_joho
洪水浸水想定区域に関するシミュレーション方法については国交省に明確な基準があるのですが、情報発信方法や展開方法については各市町村でさまざまに工夫がなされており、見比べてみるのもなかなかに楽しい物です。
またほとんどの市町村では水害ハザードマップに限らず、地震防災や津波、土砂災害など複数のハザードマップを展開しています。今回の業法改正では水害に特定されてはいますが、それ以外のハザードマップもあらかじめ確認するにこしたことはないでしょう。