エージェント活動 2020.07.13 UpDate

MONDAY, JULY 13, 2020

パッシブ理論で既築住宅に快適環境を_1

Re/Maxエージェント 奥林です


先日、とても勉強熱心なクライエントとの会話中


「奥林さん、パッシブハウスってどう言う住宅なのですか?何かの記事で見かけて興味を持ったのですが、今一つ分からなくて」とのご質問がありました


分からなくても当然です


恐らく余程のマニアでなければ不動産業界の人間でも、パッシブ理論について説明は出来ないだろうと思います


そもそもはパッシブとは英文法の動詞文法形式でPassive=受動態_受け身を意味し、相反する言葉としてActive=能動態があります


そう言えば、私の好きな作家の一人でもある海堂尊氏が処女作「チームバチスタの栄光」の中で厚生労働省_医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長白鳥と言うキャラクターにパッシブ・フェーズやアクティブ・フエーズの変法形等、良く分からない理論で面白可笑しく推理を展開していました


さて話は戻りますがパッシブハウス、直訳すると「受け身の家」とります


受け身の家なんじゃこりゃ?の世界です


それではここから蘊蓄開始



室内の温熱環境を風や太陽熱等の自然エネルギーでまかなおうというのがパッシブ冷暖房と言いますが、ようするに建物性能を引き上げパッシブ冷暖房で快適な環境を構築できる住宅がパッシブハウスであるとご理解戴ければと思います


もともとはパッシブ冷暖房はドイツで提唱されたパッシブハウス(日本では無暖房住宅と訳され浸透した)の概念から冷暖房部分だけを局所的に抽出した考え方です


例えば暖房についていえば住宅性能を引き上げ(冷房においても熱ロスを防止する為に外皮性能や相当隙間面積が高くなければ駄目ですが)太陽熱(太陽光では無い_熱エネルギーである)を取り入れましょうと言うお話です


ただし、ですが


太陽熱を積極的に取り入れるために大開口の窓(ダイレクトゲイン)を設け、そこから得られる熱量と人体(人間1人辺りの放射照度は100 W/ m2が目安とされています_ちなみにですが放射照度とは、物体へ時間あたりに照射される、面積あたりの放射エネルギーを表す物理量であり、 放射束を物体の表面積で微分することにより得られます)や家電等から発散される熱量で暖房を補おってしまおうと言う素晴らしい理論です(結果的に暖房費がかからないから、理論上は暖房費が0となります)


冷房に関しては、日射量を調整し、かつ通風を利用して室内の温熱環境を快適な状態にしよう(達成できれば冷房費がかからない)


言葉にすると簡単なのですが


なんせ、このパッシブハウスの認定基準はハードルが高い


住宅の性能面で言えば



  1. 暖房負荷は15KWh/(㎡・K)未満

  2. 冷房負荷は地方によって変化します_東京あたりで24KWh/(㎡・K)未満程度

  3. 気密性能C値換算で2(㎡/㎡)以下


これらの数値の意味を一つ一つ解説していくと記載が膨大となってしまいますので、別の機会に譲ります_今回は上記の数字の意味が分かると言う前提で話を進めて行きます



例えば暖房負荷を例にとって言えば、暖房負荷15KWh/(㎡・K)未満を達成するためには窓を大きく取り太陽熱を積極的に利用しなければならない訳ですが、冬季の室内温度(推定で終日24℃程度)を維持しようとすれば、入ってくる熱だけでは無く夜、陽が落ちた後に逃げる熱はどうするんだと言う話になります


なんせ、最上グレードの窓でも断熱性能は外壁の3/1程度


むやみに大きくすれば、熱取得が出来ない時間帯は熱がどんどんと逃げ出すわけです


あたりまえの話ですが外皮性能も最低限、ZEHレベルは欲しい所


これら性能面等をクリアしても、実生活における快適性を重視すれば窓の設置位置や通風のルート等、間取りは綿密に計算されつくしていなければなりません


日本においてはパッシブハウスの概念を独自解釈したエコハウスを販売している会社がよくあります


実際にパッシブハウスの条件を達成で来ている会社は、私の知る限りではありますが日本全国でも5社に満たないのではないでしょうか


そもそもエコハウスは日本独自の表現で、デザイン、イメージ重視がほとんど


個人的に尊敬している住宅の温熱環境に関して積極的に研究をされている東京大学 前准教授


様々な発表で「エコハウスの嘘」を提唱しています


前 真之(マエ マサユキ)東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授博士(工学) 一級建築士


http://maelab.arch.t.u-tokyo.ac.jp/2017/01/15/%E5%89%8D%E3%80%80%E7%9C%9F%E4%B9%8B%E3%80%80%EF%BC%88%E3%81%BE%E3%81%88%E3%80%80%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%86%E3%81%8D%EF%BC%89-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2-%E5%B7%A5/


以前にも記載したNEDO_新エネルギー・産業技術総合開発機構での共同研究でご一緒してからの大ファンです


建築学会でとにかく有名な先生ですし、国交省や経産省の新エネルギープロジェクトには常連として参加されておられますので、ご存じの方も多いかと思います


なんせこの先生、日本の最高学府である東大の准教授でありながら偉ぶったところがまったくありません


私の様な浅学な者の質問にも丁寧にお答え戴きますし


ともかく講演が面白い


日経WEB等で書かれたコラム記事は必読に値します


私も、暗唱できるぐらい読み込んでいます


前先生の凄い所は従来はビル等に対して優先的に研究され、当時は研究対象として見向きもされなかった戸建住宅等に対して温熱環境学を、分かりやすく落とし込まれた功績です



閑話休題


さてそれでは何故、冷暖房費を削減出来る夢のような住宅が普及しないかと言うと


1.建築費が高い(正確には見えない部分に高品質高性能な部材を使用するので、結果的に単価が上がる)


2.パッシブハウスを理解している建築士が少ない


3.建築できる技術を持つ職方が減少している


そもそも暮らしていないパッシブハウスの場合、全てが理論値つまりシミュレーション数値です


実際に建築しても、外皮性能やC値も数字です


実際に見えない断熱性能等の数字に対して、建築費が割高になり相対的に高いと認識される住宅の購入者がどれくらいいるのかと言うお話になってしまいます


私たちRe/Maxエージェントは、それぞれの個有エージェントスキルにより新築住宅も手掛ける事が出来るのですが、いわゆるデベロッパークラスの大量広告を打っているメーカーに太刀打ちできるものではありません


やはり新築住宅を検討した場合に安心_安全を求めてしまうのが人情だと思います


ですが、私達が主に扱うのは既築案件(既に出来上がっている住宅_中古物件と理解して下さい)です


この場合、現在既築状況を正確に診断する事により購入検討前に事前に温熱環境改善計画を提言し、工事を行うことにより快適な環境を構築する事が可能であると考えています


ここかからは長くなりますので、次回以降にお話を持ち越します(予定3部作ぐらいで)


続きはこちら


パッシブ理論で既築住宅に快適環境を_2



ページトップへ