お役立ち情報・ネタ 2020.06.23 UpDate

TUESDAY, JUNE 23, 2020

不動産広告を見るときの注意点_違反広告に注意(前編)

Re/Maxエージェント奥林です


さて仕事柄ではありますが新聞折り込みに入ってくる広告は勿論の事、インターネットで掲載している不動産情報を定期的に周回ローテを組んで閲覧して回ります


土地ごとの相場観を得るのは勿論、常に新しい情報を仕入れて知識拡充を図る為です


新聞広告に入ってくる輪転機刷りのチラシなんかは、私が見て「これ、表現方法がマズくない?」と思ってしまう広告に出会う事があります


心情的には他物件との差別化の為に美辞麗句を並べ、少しでも早く成約に結び付けたいと言う気持ちは理解出来ます


但しクライエントを錯誤に誘導するような根拠なき表現は宜しくない


不動産と言う財産の販売に関する広告ですから、その表現については厳しく法律でも定められており当然として業者は遵守しなければならない物です


知らないでその様な表現をしているのであれば情状酌量の余地も残りますが、意図的にそう言った表現を使用しているならば悪質です_少なくてもモラルを問われる業者との取引はやめた方が無難でしょう


先ほど述べたように不動産広告においては厳格にその表現方法に取り決めがあります


詳しくはhttps://www.sfkoutori.or.jp/


首都圏不動産公正取引協議会のHPに掲載されている表示規約表示規約施行規則をご覧いただくのが一番なのですが、自分自身で広告を作成する訳でも無いのにそんな物、読むのも面倒くさいと言う方の為に出来る限り分かりやすくご説明をいたしましょう(今回のブログは長くなりますので前編_後編の2部構成でお伝えします)


表示規約表示規約施行規則の両方を解説するとさすがに長くなりすぎますので、今回は表示規約にスポットをあてて解説させて戴きます


表示規約についてですが正確には【不動産の表示に関する公正競争規約】と呼び11章構成となっています


第1章 総 則


第2章 広告表示の開始時期の制限(第5条)


第3章 建築条件付土地取引における建物に関する表示及び自由設計型マンション企画 に関する広告表示(第6条・第7条)


第4章 必要な表示事項


第5章 特定事項等の明示義務


第6章 表示基準


第7章 特定用語等の使用基準


第8章 不当表示の禁止


第9章 表示内容の変更等の公示(第24条)


第10章 公正取引協議会及び公正取引協議会連合会


第11章 雑 則(第28条・第29条) 


ざっとこんな感じです。前編では第7章までのご理解戴きたいポイントをピックアップしていきます



理解しておいた方が良い条項としてまずは


第2章 広告表示の開始時期の制限の第5条(広告表示の開始時期の制限)でしょうか


条項ではこの様に書かれています


【事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取 引に関する広告表示をしてはならない】


つまり建築確認済証等(建築確認申請書では無い_着工前に建築法規に適合しているか申請を行い、適合していると確認された場合に発行される書面。宅地造成の場合にも同様に宅地造成適合証明書が適合の証として交付される)が交付される前には告知広告を行ってはいけないと言う事です


よく新築一戸建ての等の建売住宅の場合には物件概要の欄に建築確認番号が表記されているかと思いますが、それが無い場合には違法表記となります


ここで紛らわしいのが次章の【第3章 建築条件付土地取引における建物に関する表示及び自由設計型マンション企画 に関する広告表示】です


建築確認済証等を受けている住宅や宅地造成は、基本的に申請通りの物が完成します


販売価格等の表記にも整合性があると言え、その点でまずは安心出来るとも言えます


ところが建築条件付土地等の場合には、あくまでプラン例なのでその通りの物が建つと言う根拠が曖昧です


酷い場合には北側斜線制限等の建築法規や地区条例等の関連法規をまったく無視して、見栄えの良いプラン例を掲載している場合も見受けられます


あくまでプラン例だから問題ないじゃないか_と言う広告主側の論理が透けて見えますが、第3章においてはそれらも厳しく規制しています(そもそもがおとり広告自体を規制しています_この様な事をするから不動産業界の地位が上がらないのです)


それでは条項を見てみましょう


【第6条 前条の規定は、建築条件付土地取引に関する広告表示中に表示される当該土地に建築すべき建物に関する表示については、次に掲げるすべての要件を満たすものに限り、適用しない。


 (1) 次の事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示していること。 ア 取引の対象が建築条件付土地である旨 イ 建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が表示された建物の設計プランを採用するか否かを問わず、土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を経過した日以降に設定される期限) ウ 建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受 領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨 エ 表示に係る建物の設計プランについて、次に掲げる事項 (ア) 当該プランは、土地の購入者の設計プランの参考に資するための一例であって、当該プラン を採用するか否かは土地購入者の自由な判断に委ねられている旨 (イ) 当該プランに係る建物の建築代金並びにこれ以外に必要となる費用の内容及びその額


(2) 土地取引に係る第8条に規定する必要な表示事項を満たしていること。 (自由設計型マンション企画に関する表示)


第7条 第5条の規定は、自由設計型マンション企画に関する表示であって、次に掲げるすべての要件を 満たすものについては、適用しない。


 (1) 次の事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示していること。 ア 当該企画に係る基本計画である旨及び基本計画の性格 イ 当該企画の実現に至るまでの手順 ウ 当該企画に関する意見聴取のための説明会等の開催時期及び場所 エ 意見聴取に応じた消費者に対し、当該企画に基づく物件その他の物件の取引を拘束するもので はなく、また、これらの取引において何ら特別の取扱いをするものではない旨 オ 当該企画の実施に際しては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分を受ける必要がある旨 及び未だ受けていない旨 カ 当該企画の実施の段階において、顧客の注文による設計変更図面作成費、追加工事費その他の 費用を必要とするときは、その内容及び額


 (2) 当該企画に係る基本計画について、建ぺい率・容積率の制限の範囲内において建築可能な限度を 示すための透視図並びに消費者の意見を求める基礎となる外観図及び平面スケッチを示す場合においては、消費者の意見を聴取する場合の手がかりとして示すものであって、具体的な実施計画の内容を示すものではない旨を、これらの表示に接する位置に明示していること。


(3) 当該企画のコンセプトに関する説明及び前号に規定する図面等を除き、建物の具体的な設計プラ ンを表示していないこと】



ちょっと長くなりました


要約すると適合証明済物件であると誤解を与えないように、建築条件付きプラン例であることを見やすい場所に適切な表現で表記を義務付けている訳です。それ以外にもプラン例はあくまで目安であるため、その建物が必ずしも適合条件を満たすわけではないですから相応の熟慮期間を設ける事、かつ条件が成就しない場合においての契約解除要件を定めている訳ですね


ですから万が一、営業マンの口車に乗って建築条件付き宅地を契約してしまい「解約するなら手付金は没収します」とか言われたとしても、契約約款による損害賠償の予定以前に不動産の表示に関する公正競争規約第6条_7条違反を根拠に解約出来る訳です


実はこの手のトラブル相談は裁判前和解調停事案としてお聞きする事が多いのですが、たいがいは業者の言い分は通りません_当たり前の話ではありますが


他に覚えておいて戴きたい条項としては【第6章 表示基準 第1節 物件の内容・取引条件等に係る表示基準】でしょうか


条項を見てみましょう


【第15条 事業者は、次に掲げる事項について表示するときは、規則で定めるところにより表示しなければならない。



  • 取引態様 (2) 物件の所在地 (3) 交通の利便性 (4) 各種施設までの距離又は所要時間 (5) 団地の規模 (6) 面積 (7) 物件の形質 (8) 写真・絵図 (9) 設備・施設等 (10) 生活関連施設 (11) 価格・賃料 6 (12) 住宅ローン等 (13) その他の取引条件】


ここで注目して戴きたいのは(12)住宅ローン等に関する表記ですね


良く見かける「家賃並みの支払いでOK」とか「月々〇〇万円の支払い」「月々の家賃で家が買える」とかの表記


そもそも「家賃並みの支払いでOK」とは、どのエリアで、どの程度の大きさの賃貸家賃と比較して家賃並みと表現するのか根拠が薄弱な為、NG表記です


「月々〇〇万円の支払い」についても、たいがいは最優遇金利の3年固定で計算をしていたり、ボーナス割合を高くして一見、月々の支払いが格安に見えるように表記している場合が多く_たいがいは小さな字で横に根拠が書いてある_明示がなされていれば規約に関してはギリギリのラインではありますが、クライエントに錯誤を与えやすい表現と言う事で私としてはNGです


私も不動産業界に長くおりますので、例え違法スレスレの表現でも1件でも多く問い合わせが欲しいと言う広告側の心理は痛いほど分かります_ですが、そこをグッと堪えて紳士的に正々堂々と表現する事。そうしなければ日本の不動産業界の地位向上は覚束ないでしょう


私の好きな言葉の一つにザ・リッッ・カールトンの従業員が携帯するクレドカードに書かれているものがあります


「We Are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen」


和訳すると「お客様は紳士・淑女です。そのお客様をおもてなしする私どもも紳士・淑女でなければならない」と、なるでしょうか


不動産の購入を検討されるクライエントは、命の次に大切な不動産_財産の購入をエージェントに託します。私たちはそのクライエントの要望に応えるべく物腰_知識等すべてにおいて紳士・淑女でなければならないと思っています


 


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