RE/MAX_エージェント 奥林です
エージェント業務に関連するスキルとして、不動産知識は当然としてそれ以外の各種関連税法や、登記法・判例を読み解ける程度の法律知識の他、融資に関する知識も必須です
提案した不動産の購入意思があった場合、資金繰りをお手伝いしなければならず、資金計画書から始まり金融機関に対する代理申し込み作業も業務の一環です
資金計画書を作成するにあたっては、融資申込先により金利や申し込み条件・団信種別などさまざまなものがあり、クライエントの資産状況や与信力、自己資金比率や勤務属性などを考慮し申し込み先が選択できる情報提供につとめます
最低限として全期間固定の「フラット35」の金融機関別の金利動向や、都市銀行・地銀・信用金庫の貸し出し基準やや3年・5年・10年・変動の金利を記憶し、審査基準を理解している必要があります
クライエントに説明するにはそれらに加えて、最近の融資申し込み先トレンドとその理由と言った情報も仕入れておかなければ、より良い提案は出来ません。
金融知識の差別化は、クライエントのためにオンリー・ワンであるべきエージェントとして欠かせない知識になります
住宅融資に関するトレンドを読み解くには、様々な情報にアンテナを張り、収集に努めます
その中でも住宅金融支援機構が各金融機関に対してアンケート調査を行い毎年発表している「民間住宅ローン貸出動向調査」は、年度別の動向を考察するのに適した情報です
今回は【2019年度 民間住宅ローン貸出動向調査】から考察を行ってみましょう
これらのデータは下記URLからも参照できます
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_minkan.html#SUB2
なお調査対象は都銀・信託・地銀・第二地銀・信用金庫・信用組合・労働金庫・その他金融機関317件に対しての調査結果となっています。
【住宅融資の申し込み金利動向】2019年12月公表_フラット35は除く
「変動金利型」が2年連続増加しています(49.9%⇒63.9%⇒70.4%)
「固定期間選択型_10年」が2年連続で減少しています(28.8%⇒19.7%⇒14.3%)
アンケートでは2年・3年・5年・10年・10年超も回答項目に加えられていますが、実際の金利タイプ別では例年「変動金利」と「10年固定」の2種類で全体の80~90%のシェア率を持ちます
金融機関の広告では「3年固定」商品に対して逆ザヤにもなる金利を定め集客を行っていますが、3年の固定期間などはあっと言う間に終わり以降は変動金利に強制的に移行します。
営業マンが最優遇金利の「3年固定」金利で計算を行い、いかにも支払いが安いと言った提案を押し付けてくるとしたら、あまりにもクライエントの支払いに関して配慮が足りないと思います
参考までに、インターネット情報で比較したランキングでよく見かける金融機関の変動金利と10年固定金利を一部記載してみましょう
auじぶん銀行 変動 0.41% 10年固定 0.55%
住信SBIネット銀行 変動 0.41% 10年固定 1.16%
イオン銀行 変動 0.52% 10年固定 0.62%
三菱UFJ銀行 変動 0.525% 10年固定 0.74%
りそな銀行 変動 0.47% 10年固定 1.295%
個人的には月初に金融機関47行の金利動向をデータ化してまとめていますが、変動・10年固定ともにネットバンクが、金利の面では圧倒的に安くなっています
ネットバンクは基本的に無店舗型(ないしは必要最小限の店舗)であり、事務経費・人件費などの支出を抑えているので、金利面でも優遇出来ていると推察できます
ただ実際の借り入れのハードルはなかなか”高い”のが実情です
無店舗型や都市銀行に多い傾向なのですが「温情的もうひと頑張り」は、ほぼ通用しません
「資金が100万円ショートするので、何とかなりませんか」と言う駆け引きは地銀や信用金庫では交渉も可能で、融資担当も比較的親身に相談に乗ってくれます。たいして無店舗型などは「書類のみ」です_ドライではありますが、致し方ないかと思っていますが・・・
勤務属性や自己資金比率など、一定ラインをクリアしていなければなかなか審査基準に達しません
一般的に「借りやすさ」は金利に比例しますので、ご自分の借り入れ内容を吟味し、知識のある営業マンや金融機関相談窓口に聞きながら、借入金融機関を決定するべきでしょう
余談ですが、実際に審査申し込みを行うと必ず個人情報を調査され(JICCやCICなど)その照会履歴が残ります。金融機関のスタッフは口にこそ出しませんが直近で何回、信用調査がかけられているか丸わかりです
たまに耳にする話ですが、融資難航のクライエントに対して“数うちゃ当たる”とばかりに複数の融資申込書を記載させ、申し込みを行う営業マンの話を聞きますが「愚の骨頂です」
金融機関には信用情報照会実績が丸見えですから「何かあるのでは?」と、勘繰られることになります。
クライエントに対して正確なヒアリングを行い、どの金融機関が最適か吟味してせいぜいが「2~3件」が上限だと考えた方が良いでしょう
【実際に何年で完済しているか】
申し込み時年齢と完済時年齢により、融資期間の限度があります
期間に関して言えば最近のトレンドは35年でしょうか
ここで、実際に融資を受けられた方が「何年で完済」しているかの興味深いデータがあります
2015年 単純平均14.4年
2016年 単純平均15年
2017年 単純平均15.2年
2018年 単純平均15.7年
単純平均ではありますが、驚くべき短さです
但し、年を追うごとに年数が微増しているのも見逃せません
10年以下完済が2015年には37.3%であったものが2018年には22.2%まで減少しています
変わりに30年以下完済の比率が上昇していますので、全体としては微増で済んでいます
完済金の調達をどのようにしているかの公表はされていませんので、うかつな考察は出来ませんが、一般の方に多いのが「退職金」や「繰り上げ返済の活用」による期間短縮ではないかと考えています
もっとも数十年前の住宅融資ですから、返済期間も現在のものとは違いますし、旧住宅金融支援機構(現在のフラット35)の全期間固定大型金利は平成3年8月8日の実施日で6.9%という、現在の金利動向からみれば驚くべき金利でしたので「一日でも早い完済」をスローガンに皆さんが頑張られた結果だとも考察できます。
融資期間について個人的におススメは「最長期間の融資」を組んで「日々の生活においてあまり無理をせず」出来る限り早い時期に繰り上げ返済を実施し期間を短縮していくこと
この「繰り上げ返済」は、例えば100万円を繰り上げ返済すると、当然として元金が100万円減るわけですが、それ以降の100万円に対する金利がカットされます。
繰り上げ返済の時期が早ければ早いほど、総支払額に対しての効果が高くなります。
住宅を所有すると、発生するのは固定資産税だけではありません。例えば外壁のメンテや水回り設備の交換なども念頭におかなければなりません
特に外壁の塗布などは定期的に実施しなければ、外壁寿命を著しく劣化させる要因にもなりますし、放置すると躯体寿命にも影響を及ぼします
そのような必要に迫られたのに資金が足りず、高金利の「リフォーム・ローン」などを信販などで組むのは非常に切ないものです
それらも含めての返済計画を考え、融資申し込み先や返済期間を選択することが大切です
融資に関するご相談もお気軽にどうぞ
RE/MAXエージェント_hiroki.okubayashi
090-3773-1849
okubayashi@remax-agt.net