RE/MAXエージェント 奥林です
昨日6/16日_クライエントから
「抵当権付きの物件でも債権者の承認を得ずに売買出来るのかい?」
と言った相談を受けました
結論としては出来ます
ただし・・・が、付きますが
聞きなれない言葉かも知れませんので、まずは抵当権の説明からしましょう
「債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済(優先弁済的効力)を受ける権利を言う。質権とは違って引き渡しを要しないために所有者が抵当権成立後も引き続き使用・収益をすることができる、というのが概ね通有的な性質である」
一般的に担保物権は、その通有性により、抵当権には付従性・随伴性・不可分性・物上代位があるとされています
質権とは違いますので“質草”とは違いますが、使用を許された質草と言うイメージでも宜しいかと思います
抵当権設定時に必要とされる登記原因証明情報(一般的には抵当権設定契約書による_融資を実行する前の金銭消費貸借契約時に締結される事が多い)
そこで本題に戻りますが、抵当権設定されていても使用収益が出来ると言うのが、基本的な考え方です
融資を借りている住宅やマンションでも賃貸住宅として貸し出して収益を受けることが出来るというのが法律趣旨です
但し、マイホームローン等の住宅融資は長期的に優遇金利を適用して貸し出しを行います
最優遇金利を適用する理由は「債務不履行により自分の家を取られないように、お金がなくても優先して住宅ローンは支払ってくれるだろう」と言う、貸し倒れリスクが低い事を理由とする優遇金利なのです
ですからマイホームローン融資を受けた住宅を賃貸物件として貸し出す場合には金融機関の承諾を得る事、と言うのが貸し出し条件に付けられています(これは金銭消費貸借契約約款に書かれている場合が多いのですが)金融機関も支払いが遅延しない限り、それ程まで厳格には自己所有物件の居住の有無を確認しないのが実情ですので、実際には相談せずに貸されている事が多いのが事実です
その様なケースですと厳密には融資条件約条違反として一括弁済を迫られても仕方がない事となりますので、必ず金融機関に事前相談なさることを私はお勧めします
話が脱線してしまいましたが、抵当権は債権者が担保として万が一の債務不履行時に貸し倒れしないようにする手段ですので、民法や登記法において売買を禁じる法的根拠はありません
ですから冒頭の回答である「結論としては出来ます」と、言う事になります
ただし、金銭消費貸借契約における契約違反(民法415条に主に該当)となります
損害賠償を求められても仕方がないケースです
第三者名義の抵当権が付いている物件を売買した場合において、その第三者が債務不履行をおこして抵当権の行使による差し押さえをされた場合、対抗要件はありません_居住権なんてのもあるのですが、このケースの場合には簡単に排除命令が取れてしまいますので
残債を全額弁済して抵当権の抹消を実行すれば良いのですが、断りもなく所有権移転をされた物件の抵当権抹消には心情的な物もあり金融機関も気持ちよく抹消に応じてはくれません(前記民法415条を根拠とする損害賠償の問題)
泥沼化する事が多いのです
この様な事案を得意とするのが、事件屋の性質をもつ金融屋や不動産屋なのですが・・・
金融機関は融資を実行し、貸出期間において約定金利を支払いしてくれる事により利益を得るのですから一括弁済自体が面白くないのです_勿論、貸す側の理由ですけどね
「権利の上に眠る者を法は保護せず」
「法の不知はこれを許さず」
以前にも書いた法格言ですが、法律の基本的な考え方は、知らなったでは通用しないと言う事です
今回はクライエントにその辺をきちんとご説明し、理解を得られ「イレギュラーな方法は考えず、適切に取引を検討する」との言葉を頂戴しました