エージェント活動 2020.09.28 UpDate

MONDAY, SEPTEMBER 28, 2020

騒音問題は心理的瑕疵になるか?

RE/MAXエージェント 奥林です


エージェントとして不動産業務をこなしながらも「日課」としてRE/MAXブログや、雑誌社やネット関連の制作会社から請けたコラムなどを執筆しています


テーマが決まっているコラム執筆だと、詳細を調査をしながら書き進めますが「自由に書いてください」と言った形式の場合には“お題”から考える必要があります


デイリーワークとして連日3000字前後のコラムを1~2本仕上げていると言うと、ネタ作りに枯渇すると思われるらしく


先日も優秀なMRでもあったK氏と、ご近所会で会食した際に(Kさん見てますか?_登場しましたよ)


「奥林さんは、たいして文章は上手くないけど毎回テーマを変えて書き続けられるのはすごいと思います」と、賞賛と蔑みと憐みのこもった目で言われました


テーマ造り・・・実は、まったく困っていません


29年も(1年更新しました)不動産に関り続けていると、様々なクライエントからの相談に対応しておりますし、目的意識を持って情報に接していれば幾らでも「ネタ」は転がっています


比較にもならないのですが「坊っちやん」「吾輩は猫である」「三四郎」など、文学界の金字塔である夏目漱石先生の奥様コメントが書かれた本を読んだことがあります


題名は忘れましたが奥様曰く


「夏目は、仕事を終えて(有名な話ではありますが東京帝国大学講師でした)夕刻以降に小説を書きはじめ、早い時間に終えていました。書くことに対して、あまり悩んでいる姿を見たことがないですね」とのこと


その後、筆者は、七転八倒に苦しみながらも遅筆だった太宰治(個人的には“斜陽”が好きですが、作家個人としては、その背景も含めて”敗者の文学“との感想を持っています)と比較して、「知識の井戸」の差が両作家の違いであると論じていました


私も同感で、常にアンテナを張りながら目的意識を持って情報に接していれば「書くネタがない」と、悩むことはないと思っています


閑話休題



さて今回は「騒音」に関する問題   題して


【騒音問題は心理的瑕疵になるか?】


代表的なのが賃貸や分譲マンションにおける、上下間の振動音に関する問題


それ以外でも近隣に工場などがある場合には操業音の問題


近所から漏れ聞こえるピアノの「音」も時間を度外視して流れてくれば問題になりますし


防音処理を施していない住戸の音楽鑑賞も時間帯により「騒音」に分類されますし


最近よく耳にするのが、一戸建てにおける深夜帯のヒートポンプ室外機稼働音の問題


「音」に関して、ありとあらゆる相談を受けたことがあります


クライエントから依頼されて、騒音元に交渉に行ったこともありますし、埒があかなければ法的処理として内容証明を郵送したり、裁判もおこなったことがあります


騒音の発生元が、工場などで(つまり企業)騒音発生時間が受忍限度を超えている場合には「心理的瑕疵」として一部容認される場合もありますし、交渉に赴いても比較的に楽です


参考となる判例もそれなりにありますから


H9.9.25_浦和地裁


「基地周辺の航空機騒音の著しい地域の建売住宅を購入した買主が、売主業者に対し、航空機騒音の告知義務を怠ったとして損害賠償を求めた事案において、売主業者には特段の事情のない限り航空機騒音の告知義務はないとして、買主の請求を棄却した事例」


東京地判聞51. 9.29 判時829-27


「買主X らは、昭和 4 1年 9月、売主公団Yから公団分譲住宅を買い受け、入居したと ころ、団地東側の市道を走るパスの走行音が喧しいとして、 Yに対し、民法 634条を 類推適用して、二重窓の設置を求めた。 これに対して、裁判所は、本件道路公害は、著しく劣悪な条件下にあるとはいえず、 Xらにおいて受忍すべきものであり、二重窓を設けていないとしても、民法 634条に いう暇疲にあたらないとして、 Xの請求を斥けた」


大津地判平 9. 8.21 判時1633-131


「売主業者Yは、平成 6年 8月、大津市内の本件土地(国道 1号線の高架橋と京阪電鉄 が交差する地点)に、 10階建分譲マンション(戸数 27戸)を建築し、分譲した。近 隣土地所有者 Xl及びX 2が、本件建築により、鉄道騒音、道路騒音が反射して増大し たとして、 Yに対し、損害賠償を求めた。 これに対して、裁判所は、① Xl宅の電車騒音は深夜 90ホーンに達するが、これ は本件マンションが電車の騒音を反射するためであり、② X2宅の夜間騒音は中央値 70ホーンであるが、これは本件マンションの影響で東風が吹いた場合西側に吹下しの 風の流れが生じ、高架国道の騒音を下方に導くためであるとし、③ Yに対し、 X らの 二重窓設置工事費用の支払いを命じた」



ところが騒音元が個人の場合においては、騒音に関する受忍限度が著しく高くない限りは裁判を行っても、まず否認されます(第三者的に見て、常軌を逸しているレベル)


市役所に相談しても、事情は聞いてはくれますが関与してくれません


なぜかというと、行政のスタンス


「一般家庭から発生する生活騒音は、法律などによる規制の対象になっていません。生活騒音は、日常生活におけるモラルの低下やコミュニケーションの不足から生じる問題であることから、原則として当事者間で話し合うことにより解決に努めていただくこととしています。原因者に直接お話をするか、賃貸住宅であれば大家さん、分譲住宅であれば管理組合、公営住宅であれば管理公社に相談されるなど、円満な解決を目指してください」


と、いうことだからです



行政が関与してくれないから、裁判で決着つけてやるとばかりに意気込んでも、その立証責任は原告側にあります


深夜に騒音元に張り付きビデオカメラで撮影をしながら騒音計で音を測定しなければならない


かつ1日や2日ではたまたまと、とらえられることから連日の張り込み


下手をすると、近所のお宅から通報されて警察から職務質問されます


そもそも個人間騒音問題での立証責任であれば深夜時間帯に60db以上の音が常時流れている状態を、複数日記録として残す必要があります_そこまでしても裁判で完全勝訴が難しいため徒労に終わる可能性が高い


行政ではないですが上手く騒音元と話をして「気を付けてもらう」ぐらいしか出来ないのが実情です


ただし我々のようなプロが介入した場合には、交渉手法が変わります(詳しくは記載できませんが、合法的に処理を行います)


法律知識と実務経験から様々なご相談に応じています


ご相談はお気軽に


RE/MAX KYOUEI_Hiroki Okubayashi


090-3773-1849

メールアドレスhiroki.okubayashi@remax-agt.net

 


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