ここ2週間ほど、過去に賃貸仲介させていただいたお客様からの問い合わせが増えています。
「テナントから賃料減額を申し入れられている。下げるべきか?」
「賃料を下げて欲しいが、どの程度まで可能だろうか?」
貸主・借主どちらの立場からも相談を受けますが、いつも私の答えは変わりません。
このように答えています。
「良好な関係を続けるための合意点を考えましょう」
メディアの反応を見ていると建物オーナーに減額を求める風潮ですが、建物オーナーには裕福な人もいればそうでない人もいます。多額のローンを抱えていたり、建物の維持管理費が高額で収益がよくなかったり。一概に「貸主は下げるべき」とは言えません。
ただ、一般的にみて、建物オーナーの方が経済的に安定しています。まして今回のような事態では、飲食店や物販店を営む借主の多くは経済的に苦しい状態であり、だからといって売上歩合的な取り決めがなければ賃料が当然に下がる訳ではありません。この状況が長く続くと借主は継続的に事業を続けることができません。(事業を続けることが「賃料減額」だけで達成できるかどうかについてという議論がありますが……)
借主が事業継続できず解約となった場合、よほど立地の良い物件でなければ、今の状況で同条件の次の借主が見つかるとは思えません。また、見つかったとしても空室期間が生じます。それを考えると一定期間一定金額の減額に応じることは借主のみならず貸主にとってもプラスだと言えます。
どれくらい下げるべきか、どの程度の期間下げるべきか。エリアや業種、現賃料等にもよりますが、まずは貸主・借主が良好な関係を続ける対話をもつことがスタートだと言えます。