最近の物件には、畳がないものも多くなりました。
しかし、中古のマンションにはまだまだ畳の部屋があります。
畳の部屋をもし、リノベするなら、どんなふうにされますか?
■二条城のデザインについて
京都の中京区を走っていると、その白さが青空と対比して
美しく見える二条城。二条城の高さは、約38.1Mです。結構高く見えて低く
抑えてありますね。
二条城は、1602年に徳川家康によって完成しました。
1603年には征夷大将軍拝賀の礼が行われました。
徳川家の城だった二条城は1867年の大政奉還により、朝廷の管理下に入り、84年に天皇家の別荘「二条離宮」となった際、唐門(重要文化財)の屋根の軒下にある金具では、徳川家の直径9センチの葵の紋の上に、天皇家を表す菊の金具が取付けられたそうです。
平成6年には、世界遺産に登録されました。
二条城の大広間は合計200畳。二の丸御殿の中で最も各式の高い部屋です。
■建築透視図
一の間、二の間の絵は「松孔雀図(まつくじゃくず)」狩野探幽の作です。
上座に座る将軍がより遠く感じるように、遠近法が使われています。
大広間の天井には、二重折り上げ格天井が使われています。
普通の住宅でも、ちょっと豪華な和洋折衷のリビングルームがあったときには、
ごう(格)天井が使われていますね。マンションなどで見かける
普通の和室は竿打ち(さおぶち)天井といいます。
鎌倉時代には、書院建築を作る要素は見られていますが、畳がなく板間であったり
床の間の形もいろいろだったようです。
書院とはもともと「書斎を兼ねた居間の中国風の呼称」といわれています。
書院建築とは、書院を中心にした建物という意味です。
その前の寝殿造では間仕切りがなかったのが、書院作りでは、間仕切りを
襖で行い、各部屋にも段差が設けられました。そして床の間が設けられて
床の間との位置関係によって、上座や下座など座る位置が決められました。
こういった床の間がマンションにも少しだけみられることがありますが
コロナで長い時間、家の中にいる時には、現代的な床の間で草花を楽しむと
いうのも良いかと思います。
書院の発展前は、本を見る二畳程度の畳に書を見る部屋、というのが始まりだそうです。
現代なら二畳程度のリモートワークスペース、というところでしょうか。
■書院建築のプライベートとパブリック?
書院建築は、南と北に区切られています。南が公の間、北がプライベートな間と
言われています。建物を見るときにも、どこかパブリック、プライベートをイメージ
すると楽しくなるかと思います。もし大きな畳の部屋があるご家庭でしたら
どこまでパブリック?プライベートなどを考慮して、思い切って洋室にする、
あるいは和室を新たに生かした天井デザインとするのも良いかもしれません。
個人的にですが、和室のデザインや、住まいのデザインがあまりにも
どれも同じになってしまい、京都の物件でも、東京の物件でもさほど
変わりがない、というのは、土着の風土を次世代へ継げないということで
淋しい気がします。京都の歴史的建物には天井にたくさんのデザインが残されています。
オーナー様へのデザインも、壁や床だけでなく、大きな面積で印象を変える天井に
着目したいものです。
■夜の二条城ライトアップで歴史を感じることができます。
今年も二条城桜まつり2021が行われます。城内には約300本の桜がありますが、開花には時差がありますので、ゆっくり楽しめます。1ヶ月の間、桜のイベントが行われますので、ぜひお楽しみ下さい。
■実は、あなたも二条城の一口城主募金になることができます。
二条城は2011年から修理作業が行われておりますが京都を代表する
文化観光施設を保存するため寄付が募られています。一万円寄付をすると
一年間有効のチケットがもらえるなどのベネフィットがあります。
詳しくは二条城のHPをご確認下さい。
■豪華さとは何か?
オンラインでも二条城を見ることができます。デザイン、金、大広間、そのような
豪華さもありますが、やはり「借景」として二条城の内部から外部に見える
作り込まれた自然は大変美しいです。
現代ではドローンで街をみることもできます。
空からの二条城と京都の景観見てみると、緑が豊かで、これからの景観は
空からも、緑や水景をコミュニティレベルでつくっていくべきだ、と
改めて考えさせられます。
【小西菜月 Nazuki Millotat Konishi】
住宅建築コーディネーター/デザインコンサルタント/REMAXエージェント@コミュニティ・ラボ
京都生まれ、京都育ち、建築設計・アトリエ事務所、海外駐在を経て、questLLCパートナー。
デザイン、マーケティング、ブランディングの分野で業務、教育活動を行う。
ドイツ人と国際結婚し、1児の母。京都にて子育て中。町家をもっと京都に、空き家を新しい町家に。
たてものリノベ、内装提案から再活用、まちづくりまでよりよい暮らしをつくるための提案を行っています。