ウッドショックその後
ウッドショックという言葉をよく耳にするようになったのが昨年の初めの頃からです。
集成材や製材などあらゆる木材が高騰しました。
その原因は、新型コロナウィルスの世界的な蔓延ですが、コロナウィルスが蔓延することで、
様々な事象が起こり、その結果木材の価格が高騰した訳です。
その一つが世界的な住宅事情の大きな変化です。
東京、ニューヨークなど世界の主要都市周辺の郊外に戸建を求める人が急増し、建築ラッシュのような状況が俄かに起こりました。
これに巣篭もりの拡大からリフォーム需要が高まり、木材の需要が急に高まったことが挙げられます。
コロナで物流が停滞したのも木材の価格の高騰の一因でもあります。
日本は、沿岸部以外は山林が国土の大部分を占めており、木材に困ることなどないと思いがちですが、
日本の木材の自給率は僅か40%しかないのが事実です。
何故そんなに自給率が低いのかは割愛しますが、輸入材に頼っている状況が日本にもウッドショックが大きな影響を与えているのです。
更にコロナに加え、ロシアのウクライナ侵攻は、ウッドショックの状況悪化に拍車をかけることにもなってます。
と言うのも、ロシア産木材は世界の木材の流通量の20%を占めているからです。
日本はロシアから木材輸入はそれほど多くはないので、直接的な影響は少なかったのですが、
ロシアの木材の依存度が高いヨーロッパで木材不足に陥ったことで、
ヨーロッパの国々が調達先を他の資源国に求めたことで木材価格の世界的な高騰を招いたと言えます。
ところが、このところ日本では木材の価格が下落し始めております。
理由は、建築資材の価格高騰により住宅着工数が伸び悩んでることにあります。
輸入材の調達も潤沢になってきて在庫も確保できたことで木材価格の下落に繋がっているようです。
ただ、今や日本一国だけの改善で価格安定を図ることはできません。
温暖化の影響から熱波に襲われ、大きな火災が発生している場所が少なくなく、森林面積が減少しております。
また各地区で紛争が発生しており、今後紛争が起きるのではないかと危惧されているエリアもあり、
一度そんなことが起こってしまいますと、たださえ目詰まり状態の物流が停滞したり、輸送経路の確保も難しくなったりと
物の価格の動きが安定しない状態が起こる可能性は多分に考えられます。
先がなかなか読めない状況で戦略を立てることに苦慮されている企業も多いかと思いますが、
場当たり的な機動的な対応も必要な時代だと思って対処していく気構えも必要になりますね。