「負動産(負の遺産となる不動産)」を国が引き取る動きは、2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」を中心に2026年現在、大きな転換点を迎えています。
「相続土地国庫帰属申請は急増しているが、国側も管理コストの増大に悲鳴を上げている」というのが生々しい実態です。
そこで、財務省の財政制度等審議会で国が引き取った負動産を随意契約で売却できることを可能にしました。 ただ元々買手のつかないような不動産が大半なので、どれだけ売却できるのか疑問でなりません。
この問題においての現在の状況は、以下の3つになります。
1. 制度利用の実態:申請は「爆増」
制度開始当初は「条件が厳しすぎる」と言われていましたが、蓋を開けてみるとニーズは非常に高く、 利用件数は右肩上がりです。
• 申請件数の急増: 2024年度には前年度比で約4.7倍に急増。
• 主な内訳は、宅地や農地が中心ですが、特に「遠方に住んでいて管理できない実家の跡地」 などを手放したい人が続出しています。
• 意外にも、審査を通過して受理される割合は90%以上(※審査にたどり着いた案件ベース)と高水準です。
2. 国が直面している「逆境」
国が処分を進めようとする一方で、新たな問題が噴出しています。
• 申請者が国に支払う負担金(原則20万円)は「10年分の標準的な管理費」とされていますが、 崖地や荒地では実際の管理コストが負担金を大幅に上回るケースが続出しています。
• 国が引き取ったものの、買い手がつかずに国庫に滞留する土地が増えています。 特に農地や森林は、入札にかけても落札者が現れないケースがほとんどです。
• 財務局などの現場では、引き取った土地の草刈りや巡回などの管理業務が膨れ上がり、 財政・人員ともに負担が限界に近づいています。
3. さらなる義務化とルール変更
国は「放置されるよりは、無理にでも国が管理したほうがマシ」という姿勢ですが、同時に規制も強めています。
• 住所変更登記の義務化(2026年4月〜): 相続登記の義務化に続き、引っ越し等による住所変更の登記も義務化されます。 放置すると過料(罰金)の対象になるため、さらに「手放したい」人が増える見込みです。
• ルールの見直し議論: 国の負担を減らすため、引き取った土地をより安く、 あるいは柔軟に民間に売却できるような法整備や、管理の簡素化に向けた検討が2028年をめどに進められています。
• 隣人への打診: 国に返すには「負担金(20万円〜)」と「審査期間(半年〜1年)」がかかります。 隣人に無償で譲渡するほうが安く、早く済む場合も多いです。
まず国庫に引き取ってもらうことを考えているならば、その前に隣人に声を掛けてみたら良いと思います。 これが、最も有効に土地を活用する方法だと思います。