「不動産ID」とは、日本で不動産に関する情報を一元的に管理・利用するために導入される不動産ごとの識別番号です。
これは、不動産(土地や建物)ごとに固有のIDを付与し、さまざまな情報を紐づけて管理・共有できるようにする仕組みです。
日本では不動産情報が複数のシステムや機関に分散しており、情報の検索や利活用に時間がかかっていました。
それを統一しようという動きから不動産IDの導入が進められています。 不動産IDを起点に民間や行政のデータとつなぐことで、不動産や建設分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)のカギになると期待されています。
不動産に関する情報は、登記情報(法務局)、固定資産税情報(市区町村)、都市計画情報(行政)など、 さまざまな機関・自治体でバラバラに管理されており、地番と住居表示が一致しないなど、 基盤となる住所・地番データの統一がされていないため、IDと正確にリンクするのが難しい。
不動産IDを使うためには、自治体・国・不動産会社・金融機関など多様なプレイヤーが協力する必要があります。 しかし、利害や目的の違いからデータ連携や共通フォーマットへの対応が進み難しい状況があります。
不動産業界では、他にも国土交通省の旗振りでデータ整備に取組んでいることが数多くありますが、どれもこれも完全な形で整備されておらず、 それらの取組みが却って混乱を招いていることも少なくありません。
地積調査もその一つです。 日本の登記簿には、面積や境界が曖昧な土地が多いため、国、市町村が中心となって長い期間をかけて調査を実施しているものです。 1951年に制定された「国土調査法」に基づき翌年から始まったものですが、全国の調査実施率は、約80年弱経った今、 未だ50%以下だというから本気でやっていたのか?疑念を持たざる得ない状況です。
不動産取引は、必ず対象の不動産の土地の面積に基づいて行われますが、その面積が確定していないといった曖昧な場合が大半なため、 取引時に改めて測量を行なって面積の確定を行ないます。
地積調査をしっかり行なってデータを残していてくれれば、一々時間と費用をかけて測量せずに済むのにといつも思いますが、 80年経ってもできないのに何も期待しても無駄かとも思ったりもします。
ところで、不動産IDの話しに戻りますが、なかなか浸透せず、認識もされていないため、 この番号に代わる住所識別サービス「デジタル住所」を日本郵便が始めるそうです。
日本郵便には、郵便番号というものがありますが、これはエリアを指定するもので、特定の住所を指定するものではありません。 これに対して「デジタル住所」は、番地、部屋番号まで特定できるようになります。
ただ、また別の識別番号が登場してくることで、更なる混乱を引き起こさないかが心配です。