世の中には、数多くの補助金・助成金があり、採択に向けてアドバイス、申請代行を行う業者も数多くあります。
国や都道府県、市町村は、目的を持って助成金・補助金の制度を設けていると思いますが、コロナの時の雇用調整助成金や小規模事業者持続化補助金などのように
不正受給もかなり多く、その後摘発や逮捕に至るケースも散見されることは憂慮すべき事態です。
国や都道府県、市町村は、社会や経済の課題解決、政策目標の達成を目的に制度設計するものではありますが、制度設計の意図が踏みにじられる現状に、強い憤りを感じています。
また、制度を利用する側として、その制度に振り回されるような経験も少なくありません。
実は、弊社でも一昨年事業再構築補助金を申請し、めでたく採択通知を受け、新たな事業のためにシステム構築等の準備を行い始めておりましたが、
採択の通知を受け取ってから7か月も経過した時点で応募要領にそぐわないという理由で採択を取り消されてしまいました。
この間の金銭的、時間的な投資に対してどこが補償してくれるのか経産省の担当と名乗る人に詰め寄りましたが、
回答は決定されたことなのでお気持ちは分かるが何もできませんの一辺倒で非常に腹立たしい思いをさせられました。
それが、つい数日前に事業再構築補助金の事務局という人から電話をいただいたのですが、今度は何と一転再検証した結果、
再審査を行わせていただきたいとのことでした。
不採択の電話をいただいてから8ヶ月も経った今頃何を言っているのか理解できませんでしたし、
一体どうしてこんなことになっているのか説明を聞いても理解も納得はできませんでした。
補助金・助成金は、国や都道府県、市町村が社会や経済の課題解決、政策目標の達成を目的に制度設計するものだと先述致しましたが、
これでは振り回されるだけで得るものよりも失うものが多いと感じざるを得ません。
世の中にはこんな思いをさせられている企業、個人の方が結構いるのはないかと改めて腹が立った事例です。
未登記の山林
先日報道にもありましたが、東京都が未登記の山林の所有者の特定を進め、
伐採を促す取り組みを開始するとのことです。
ご承知の通り、所有者不明土地は急速に増加しており、その面積は九州地方に匹敵するほど広大になっています。
この状況を改善すべく、昨年4月からは相続登記が義務化されました。
所有者不明土地の中には山林も多く含まれており、全体の3割が50年以上も登記されず、
所有者が不明な状態にあると言われています。
東京都が山林の所有者を探す目的としては、固定資産税の徴収は当然のことながら、
伐採を促して収益を得ること、それとこの機会に山林管理を集約化したいという意図があるようです。
また、今年中に団塊の世代が全員後期高齢者となるため、未登記山林においても更なる相続が発生し、
今以上に相続人が分散することで所有者の特定が困難になる可能性が高まることも、この取り組みに力を入れざるを得ないのだと考えられます。
まさに「大相続時代」の始まりと言えるでしょう。
これほど多くの山林が所有者不明となっている背景には、一般的に山林は不動産としての価値が低いことが大きく影響していると思われます。
相続財産に山林が含まれていた場合、それを積極的に相続したがる人はほとんどおらず、多くの場合、敬遠されます。
他に遺産がない状況であれば、相続放棄が選択されることも少なくありません。
山林は、いわゆる「負動産」と認識されているからです。
今回の東京都の取り組みが、山林に新たな価値をもたらすものであれば、
「負動産」と見做して相続放棄を選択する相続人も減少するかもしれません。
今後の動向に注目していきたいと思います。