ニューヨークの住宅事情から今後の日本の住宅市場を考える
物価の高騰が世界中で止まりません。
アメリカのCPI(消費者物価指数)は、前年同月比9.1%と予想を大きく上回る伸びを記録し、
アメリカ経済は大きなショックを受けております。
アメリカでも日本でもCPIの主要な指標になっているのが住宅費です。
この住宅費に大きな変化が生じているのもCPI上昇の原因の一端だと思います。
ニューヨークの賃貸物件の家賃が高騰しているという新聞記事がありましたが、
なんとニューヨークの家賃の平均が70万円に達したと載ってました。
70万円ってどういうこと?と思いましたが、店舗や事務所の物件でなく、
住宅の平均家賃だというので、驚き以外の何ものでもありません。
日本で70万円以上の物件を見つけるのも簡単なことでないのに、
平均が70万円ですから、もっと高額な家賃の住宅が当たり前のようにあるということです。
ニューヨークの住宅の家賃は、たった1年で30〜50%上がっているようで今後更に上昇することが予想されています。
コロナ禍のニューヨークでは、ニューヨークを脱出して郊外に戸建を購入する人が急増したため、
郊外の戸建の価格が急騰しているとつい最近のニュースで聞いた記憶がありますが、
需要の高まりに相まって人件費や資材の高騰で価格高騰に拍車をかけている面もありました。
それが、ここのところ一度郊外に転出した人達がニューヨークに戻る傾向が出ており、
賃貸物件の需要が急増し、家賃高騰に繋がっているようです。
コロナ禍において、日本でも、とりわけ東京でニューヨークと同じように郊外に転出する人が急増し、
東京で初めて転出超過といったことが起こりました。
その結果、東京近郊の埼玉県、千葉県、神奈川県の戸建の購入希望者が増え、
人件費、資材の高騰、また在庫不足も重なって価格が高騰しました。
今後、東京でもニューヨークと同じように東京回帰が進むのかということですが、
その兆候は既に表れております。
東京23区のマンションの価格が過去最高水準に高騰しているのもその表れの一端かと思います。
ニューヨークでは、FRBの金融政策の変更により住宅ローンの金利が急激に上昇しております。
昨年末3%程度でしたが、現在は5%を超える水準で推移しております。
これだけ短期間に上昇すると、住宅購入を考えていた人もとりあえず様子見になっていくのは仕方ないところですが、
販売件数は急減し、住宅市場は冷え込み始めてきているようです。
日本においては、先週行われた日銀の金融政策決定会合後の記者会見で、
黒田総裁が金利を上げることは全く考えていないとコメントされたように
当面住宅ローン金利が急激に上昇するということは起こらないだろうと思います。
ですので、ニューヨークの住宅市場に見られる住宅ローンの金利上昇による冷え込みは起きないと考えていいと思います。
ただ、マンション価格の高騰が今後も続くようだと、購入を見合わせる動きが強くなるかもしれません。
その結果、東京の家賃が高騰することが起こるのかということですが、多少の値上げに動く大家さんも出て来るかもしれませんが、
ニューヨークのようなレベルの家賃高騰は、東京では起きないだろうと思います。