大手企業が単身赴任の解消に舵を切り始めました。
私もサラリーマン時代に単身赴任を3度経験しました。
ひとりで伸び伸び生活できる楽しみもありましたが、長く続くとやはり寂しさ、面倒臭さが勝ってきます。
それより二重生活になりますので、余計な生活費がかかることも単身赴任者には大きな負担になりますよね。
大手企業が単身赴任者の解消に動いている背景としては、テレワークの浸透があるのでしょう。
毎日毎日、めちゃ混みの通勤電車に長時間乗せられ、出社した時には、
もう既にへとへとに疲れ果てているなんてことも珍しくなかったと思います。
それは、企業としても生産性の低下の原因にもなりかねないものでした。
そもそも何で転勤が必要なのか?それも単身で赴任させる必要があるのか甚だ疑問を感じる面もありました。
アメリカなどは、大卒一括採用という習慣がなく、欠員の補充で新たに採用するケースがほとんどなので、
転勤という習慣はあまりなく、従業員の方も自己成長、収入増のため転職をすることが当たり前の環境なので、
転勤という概念は、無いに等しいのかもしれません。
昔とある大手生命保険会社の支社長と話した時に、単身赴任の話に及びました。
もう20年以上も単身赴任しているので、たまに家に帰ると子供から「いらっしゃい!」と声を掛けられるんですと仰ってました。
どう考えても健全な家族とは言えませんね。
働き方、家族の有り様が時代の変化とともに変わっていくことは、とてもいいことだと思います。
東京への人口の一極集中再加速
コロナ禍で東京23区から地方へ人口が流出し転出超過となりましたが、一転再び東京への人口流入が加速し始めています。
転出の原因だったテレワークですが、最近では出社を再開する動きも出てきております。
日本の出生率がますます低下し人口減少が進む中、東京が独自の子育て支援策を打ち出しておりますので、
より東京都外から若者を呼び込むようになっていく可能性が高いです。
東京のオフィス需要では2023年問題と言われているものがあります。
昨年の「ミッドタウン八重洲」を皮切りに、今年は「虎ノ門・麻布台プロジェクト」、
「東京三田再開発プロジェクト・オフィスタワー」「渋谷駅桜丘口地区市街地再開発事業」など、
大規模オフィスを備えた再開発が目白押しです。
現在も東京のオフィスの空室率は6%を超えており、リーマンショック後の空室率に近づいてきております。
そこに新たにオフィススペースが大量に供給されますので、
一気に空室率が上昇するのではないかと危惧されているものです。
ただ、コロナの行動制限もほぼなくなり、出社文化が回復していくと、
この2023年問題は意外と鳥越苦労になっていくかもしれません。
過去にもバブル崩壊、リーマンショックで東京が不況に陥ると一時的に地方へ人口が流出したものの、
経済が回復してくると再び東京に回帰する現象が起こったように、
今回コロナによる行動制限がなくなると一気に東京への人口流入が加速していくこともあり得るのではないかと思います。
国は、何とか人口を各地に分散させたいと色々策を講じてきましたが、
ほとんど効果なく東京一極集中を阻止できておりません。
国が人口を分散させたい理由の一つに、大規模災害が起こった時に東京に人口が集中していると
甚大な被害が発生すると想定しているからです。
今後30年以内に80%以上の確率で起こると考えられている南海トラフの大地震や富士山の噴火、
あるいは同時発生も否定できないため人口の分散は日本を壊滅にさせないためにも必要なんだと思われます。
もしかしたら台湾有事が発生した場合、東京が攻められる可能性を考えたら猶更ですね。
不動産のマーケットとしては、東京に人口が一極集中することで、更に価格上昇が進むこともあるかもしれませんし、
インバウンドの来日数がコロナ前の4000万人台に回復していくと拍車がかかるかもしれません。
全ての面で東京一極集中は、地方との格差の拡大につながっていきますので、
実効性ある政策を国には期待したいです。