日本銀行の黒田総裁が退任しました。
最後の会見で大規模な金融緩和によりデフレが解消され、様々な効果があったと発言されておりましたが、
果たしてその言葉を額面通り受け取った人がどのくらいいたのでしょうか?
現在の物価上昇も金融緩和の効果でなく、コロナによる物流の停滞、ロシアのウクライナ侵攻による影響が大きいのではないかと思います。
さて、新しく総裁に就く植田氏は、581兆円も保有する国債、それとETF、REIT、
膨れ上がった資産をどう処理していくことになるのでしょうか?
誰がやっても難しい処理だと言われてますが、新たな金融危機を引き起こすような事態にならなければ良いなと切望します。
お手並み拝見というところですかね。
住宅ローン担保証券(MBS)
もう記憶の彼方に葬られしまった感があるリーマンショックですが、
一番のトリガーとなったのが住宅ローン担保証券、MBSだと言われてます。
当時、住宅ローンを貸し出していたモーゲージカンパニーが商業銀行に住宅ローン債権を売却し、
特に返済リスクの高い層への住宅ローン債権だったサブプライムローンと言われる債権が商業銀行によって
優良な住宅ローン債権とパックに証券化され世界中の多くの投資家に販売されました。
金利の上昇に伴い住宅ローンを返済できない人が続出したことでMBSの利回りが急上昇し(価格は下落)、
格付を落とす銀行が次々出て、預金の取付騒ぎが世界中で起こったことが引き金に
リーマンブラザーズが破綻、翌日に当時私が勤務していたAIGも連鎖的に破綻しました。
AIGについては、アメリカ政府が規模が大き過ぎるということで公的資金を約9兆円投入し救済したことで、
それ以上の破綻劇は回避することできましたが、これを契機に世界中に金融危機が発生し、
長く世界経済が低迷することになりました。
そもそも何故このような事態が起こったのでしょうか?
当時のFRBのバーナンキ議長による金融緩和が住宅バブルを産み、不動産価格の高騰を起こしたと考えられております。
リーマンショック以後、住宅バブルが崩壊、世界的な金融危機に発展し、かなり長い期間その状態が継続することになります。
日本でも失われた20年とか30年とか言われることになりましたが、ことの発端は、この金融危機だったことは間違いありません。
さて現在の状況をこの当時と比較すると今後どのような事態になるのか予想できるかもしれません。
コロナで世界中の中央銀行が金融緩和に舵を切り、市場にマネーが溢れ、金余り状態になりました。
この行き場のないマネーが不動産に流れ込んだことで、世界的に不動産価格の高騰を招きました。
この状況は、リーマンショックの前の状況に似てるかもしれません。
そして各国の中央銀行は、インフレを抑制するため金融引き締めに舵を切り金利を上げてきました。
住宅ローンの金利も上昇続けており返済に行き詰まる人も増えてきているようです。
アメリカの中小の銀行では融資残高の67%も商業不動産融資だと言われてますので、
金利が更に上がり利回りが上昇することで債務不履行になるケースが増えてきそうです。
シリコンバレー銀行の破綻以降、商業不動産への融資が厳格化されつつあることを考えると
今後も債務不履行になるローン債権が増えてくることが予想されます。
果たして日本の不動産マーケットは、今後どのようになるのでしょうか?
地方銀行は、外国債券を多く保有していたため含み損が出て損切りに踏み切ったところも少なくなかったようです。
史上最低の低金利で利鞘を稼げない状況の中、今後いかにして資産を運用していくのでしょうか?
これも全て新しく日本銀行の総裁に就任した植田総裁の手腕にかかっていると言って良いと思います。