2023.10.02 UpDate

MONDAY, OCTOBER 02, 2023

IZUMAI通信 Vol.253

10月に入りました。

今年も残り3ヶ月を切りましたが、未だに夏のような気候で年末が近づいているという感覚はあまり持てませんね。

それでも9月のカレンダーを捲ると少し焦りのような思いも湧いて来なくもありませんでした。


今月からインボイス制度が始まりました。

だからどうなのか?税理士に言われたように届けを出して登録番号をもらい、その番号と消費税の率を請求書に記載しましたが、

世間は大騒ぎしているので何か忘れているのではという気持ちになります。


取り敢えず走りながら問題が出て来た時に対処するしかないのかなと楽観視してますが、

そんなんで大丈夫でしょうか?


公図混乱地域


公図とは、法務局に備え付けられている土地の位置や形状が記されている地図のことです。

公図には住所とは違う土地の地番という土地毎に割り振られた数字が載っており、売買の時などにこの公図の地番と現地の土地を照らし合わせて、

どの土地が対象の土地になるのか確認するので、とても大事な情報になります。


ただ、この公図も土地の形状や面積の大きさを確認するには不正解なものも少なくありません。

国は、この公図を正確な地図にするために継続的に地籍調査を行っており、立ち合い、測量を行って地図を作製して、

今までの公図と差し替えております。

この地図は、「地図(14条地図)」と呼ばれるものです。


地籍調査は、これまでも継続的に行われてきておりますが、現時点で差し替えが完了したのは未だ50%強ということで、

残り約半分は不正解な地図のままとなっています。


実務的には差し替え前の不正確な地図も含めて公図と呼ばれることが多く、区別が明確になっていない状況があります。

正確に言うと、14条地図以外の地籍調査の行われていない地区の地図は、地図に準ずる図面(14条地図に準ずる地図)と呼ばれるものです。


今回のテーマの公図混乱地域は、この公図と現地の区画と位置が全然違う地域のことですが、道路、下水道の整備や固定資産税の課税等に支障を来たし、

また融資を受ける際の担保権の設定にも大きな影響が出ています。

ですので、売買取引が円滑に行われることができず、処分したくても処分できない状況となっている土地も数多く存在してます。


では、何故このような公図混乱地域が発生してしまったのかですが、原因は色々あるようです。

公図は、古く昔に絵図等の旧土地台帳附属地図を基に作られましたが、今に至るまで何回も転記、再製を繰り返し行われる中で、

実際の土地の状況と違ったものになってきたと考えられています。


また、分筆、合筆の申請を受けた際、法務局の方で線を入れ間違えたことも原因のひとつと考えられています。


更には、1950年代以降、人口急増にともなって宅地開発が各地で行われ、その時に宅地造成業者が公図と現地照合、地図訂正、区画整理を怠ったまま

造成、分筆、宅地販売を繰り返し行ってきたことも原因として考えられております。


元々過去の測量技術が低く、精度の低い機器を使って作られた地図ですから、実際の土地の状況とかなり違ったものに作製され、

その地図を基に作製し直されて来たため、このような地域が産み出されたと言えると思います。


では、このような公図混乱地域内にある土地を売却しようとした場合、どんな対処方法があるのでしょうか?


方法としては、大きく2点になります。

上述した地籍調査を国土交通省に申請して14条地図を作製してもらうこと、もう1点は、法務局に地図訂正を申請する方法です。


いずれにしても個人として対処する方法でなく、公の機関にお願いしないと解決できないと認識した方がいいようです。

このような土地の売買の当事者になってしまった時は、直ぐに解決できるものではないので地図が整備されるまで待つのが得策だと思います。

もし何かしらの理由で急いでいる場合は、他の物件を探すことをお勧めしたいです。

ページトップへ