2024.03.18 UpDate

MONDAY, MARCH 18, 2024

IZUMAI通信 Vol.276

今国会では、政治と金の問題によって法案についての議論の時間が取れず、成立を断念せざるを得ない法案がいくつか出ております。


そのうちの一つが区分所有法の改正です。

現在は、マンションの建替えを行うには、所有者の4/5の賛成が必要ですが、これを3/4に引き下げようとするものです。

また、これに加えて日常の修繕についても、現在は集会で所有者の過半数の賛成が必要ですが、

出席者の多数決で決められるようになります。


これは、相続人が相続放棄した結果、所有者が不存在になったり、海外在住の所有者と連絡が取れなくなったり等で

規定の賛成を得られないことが出てきていることの対応策でもあります。


この法案の成立を待っているマンションの管理組合もあると思います。

政治倫理審査会の茶番を見せられると、他にやることあるだろと思いたくなります。



地積調査により作成される地積図


地積図は、地積調査を行って地方自治体等が作るもので、土地の所有者が作る地積測量図とは別の測量図です。


地積図は、一筆毎に境界、地番、面積、地目等が詳細に記載されております。

1951年に公布された国土調査法により調査を進められてきました。

この法律が公布されてから、73年になりますが地積図が作られ保管されているのは、

22年度で全体の僅か52%とかなり計画から遅れています。

国土交通省が掲げていた計画だと2019年に58%地積調査を終わらせる予定でした。


地積調査の実施率は、都道府県ごとに見るとかなり進捗状況にバラツキが見られます。

実施率が高いのは、青森県や佐賀県などで90%を超えている一方で、大阪府や京都府はなんと1割程度しか終わっておらず、

東京都も25%という状況です。


地積調査が終わっていないと何が問題になるかというと、再開発する祭の境界確認ができないことで

工事をいつまでも着工できないということがあります。

実際、昨年開業した麻布台ヒルズも計画から工事着工まで10年以上の月日を数えましたが、

その主な原因が境界の確定ができなかったことにあります。


今年の元旦に発生した能登地震で甚大な被害を出した石川県の地積調査の実施率は

2023年6月時点で15%しか終わっておりませんでした。


同じ大地震の被災地であります宮城県、岩手県は、東日本大震災発生時に実施率80%を超えてましたので、

復旧、復興に時間を要せず進めることができました。


僅か15%しか地積調査が終わっていない石川県は、これから境界確認、所有者確認の作業を行っていくことになりなすので、

宮城県、岩手県に比べるとかなり時間を要することが容易に想像できます。


そこで、国土交通省は省令を改正して、境界、面積を確定する手続きを簡素化することを今年度内に目指すことを決めていました。


全国の地方自治体では人手不足等の理由で地積調査が後回しにされてきておりますが、

これを機に全国で地積調査がすすむことを期待したいと思います。

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