連日真夏のような暑い日が続いてますが、今年は未だ梅雨入りしておりません。
例年だととっくに梅雨入りしている時期ですが、今年は一体いつ頃になるのでしょうか?
昔は梅雨というと、長くジトジトジメジメ雨が降るイメージが強かったのですが、
近年は降り出すと1ヶ月分の雨量を一日で降らせるような災害級の大雨を記録することが増えてきました。
線状降水帯というかつて耳にしたことのない気象用語も度々伝えられるようになり、
いつどこで大雨による災害が起こっても珍しくなくなりました。
降るべき場所に降ってくれればいいのですが、山間のダム周辺で降らずに街中で大量の雨を降らせることが多く、
全体の雨量の割に水不足の可能性も考えておく必要があり、農作物の育成状態にも大きな影響が出てくることも予想されます。
私たちは、想定外の気象状況に対してどのような準備を日々しておいたらいいのか難しくなりましたね。
住民の建設反対活動
東京の国立市で完成間際の10階建てのマンションが解体されるという報道を目にしました。
違法建築、手抜き工事、事業計画の甘さとかから解体される羽目になったのかと思いましたが、
このマンションが建つことで富士山が半分隠れてしまうため、景観が大きく損なわれるということが解体の理由のようです。
建設に当たっては何度も地域住民への説明会を繰り返し行い、理解を得られたという判断から工事を着工したと思いますし、
建築確認申請に対しても確認済証を交付されており、法的にも問題のない建築物の筈です。
住民説明会の中で、4階建にして欲しいとか、延べ床面積を計画の半分にして欲しいといった要望は数多くでていたようですが、
マンション事業者としては、経済合理性を求められない建物への変更についてはひざ詰めで理解を得ていただくために根気強く説明会で説明を繰り返したと思います。
そういった努力を重ね、最終的には住民の合意を得て11階建てを10階に規模を縮小して着工した訳です。
それが、ほぼ完成というタイミングで解体を決めたというのですから解せない感が強いです。
分譲マンションですので、既にほとんどの部屋で売買契約が成立しており、このマンションに転居を決められた方々の精神的なダメージは計り知れないものがあります。
今まで住んでいた家を売却して購入を決めた方、賃貸の契約を既に解約してしまった方、子供の学校のことを考えて先に学区内の賃貸住居に居を構えてしまった方、
このエリアで事業を展開する目的で営業を始められている方、等々様々な将来に対して夢と希望を持って購入を決められた方々が住居を奪われ、
将来設計もやり直さないといけない状況に追い込まれたことは大変重大なインシデントと言えると思います。
何故、このような決断をされたのか?決断するのに何でほぼ完成のタイミングまでかかったのか?疑問が多い事案であり、
色々な立場の方が関わっているので、解体を決めて一件落着という訳にはいかないと想像できます。
中小のマンションデベロッパーだったら、間違いなく破綻することになると思いますが、積水という巨大企業であったのでこのような決断ができたと言えると思います。
今回の事案と性質を異にするかもしれませんが、完成間際で竣工を断念したケースは過去にもいくつかあります。
有名な事案としては、文京区の「ル・サンク小石川」が思い出されます。
このマンションは、建築申請後、確認済証の交付を受け粛々と工事を進めていましたが、住民が東京都安全条例に違反しているのではないかと建築確認済証の取り消しを求めた訴訟を起こし、
住民の訴えが認められ建築確認が取りされてしまい、こちらも解体して建て直しを検討せざるを得ない状況となりました。
ただ、建築確認申請を受けて確認済証を交付した検査機関も責任の一端はあるだろうと思いますし、実際開発業者から訴えを出されているとのことです。
このマンションに関しては、既に完売状態であったことで、前述の国立のマンションを購入した人達同様に、将来設計を大きく崩され
人生そのものが狂わされてしまうかもしれないと思うと気の毒としか言いようがありません。
大型の建築物を建てる時は地域住民との関係を築き、理解を得られる状況を作り出していかないとどういう展開が待ち構えているか想像もできないこともありますが、
普通の個人の住宅を建てる時も、事前に近所の方とコミュニケーションを図って関係を良好にしておく必要があると改めて感じます。
ご自宅の売却の依頼を受けた際に近所との関係が悪く、測量等に協力を得られないケースも少なくないので、仲良くお付き合いしておいて欲しいなと切実に感じます。