生命保険の募集文書のチェックをAIが行うようになるとプレスリリースがありました。
生命保険の募集文書は、記載事項に厳しくルールが設けられているため、簡単に作成できませんし、
社内の審査をクリアするのに何回も差戻しされ、時間がかかるので必要な時機を逃してしまうこともあります。
その募集文書をAIがチェックするということですが、この導入が進むと保険会社では、
大量解雇といったことが起こる可能性が出て来ます。
既に保険を引き受ける際の審査、保険金支払いのチェックを自動化したことで、内勤職を大量に解雇したこともありましたが、
AIの導入でまた人員整理が始まることは間違いありません。
AIが人の代わりにできることが増えると、人がやる仕事が減り、仕事の質も変わってくるということは、
何年も前から言われておりました。
昔は、応接間に欠かせないオブジェとして百科辞典というものが鎮座ましましと置かれていたことを記憶している方もいると思います。
今では、百科事典に収めらていた情報は、小さなスマートフォンで百科辞典以上の情報を容易に、
瞬時に誰でも引き出すことができるようになりました。
百科辞典の消失は、百科辞典ビジネスに携わっていた仕事の消滅に繋がりました。
デコンストラクションです。
今後、デジタル化、AIの進歩によってそれまで当たり前にあった仕事が消えてなくなっていくでしょうが、
そのスピードが加速していくことは避けられないかと思います。
不動産信託について
信託というと信託銀行を思い出される方が多いと思います。
信託法という法律に基づいて運用される仕組みで、「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及び
その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。」とあります。
信託は、財産を信じられる人に託す仕組みで、財産を託す人が「委託者」、託される人が「委託者」、
財産から生じる利益を得る人が「受益者」といい、この3者で構成されます。
受益者は、委託者がなることが多いですが、第三者がなることもあります。
受託者が営利の目的及び反復継続性を持って行うと「商事信託」、それ以外を「民事信託」と呼び区別されます。
前述の信託銀行は、「商事信託」になります。
信託は、あらゆる財産を対象とすることができますが、不動産を信託した場合を不動産信託といいます。
不動産が信託されると、不動産の名義が受託者に移転します。
同時に信託についても登記されます。
解り難いかと思いますが、名義が変更になるだけで実質的な所有者は委託者のままです。
受託者は、不動産の管理、処分等を自分の名前で行えるようになる訳です。
売買の場合、名義人は受託者ですが、委託者が受益者であれば所有者は変わっていないため、不動産の所有権移転登記の際、
登録免許税、不動産取得税はかからず、通常の不動産売買より有利な取引を行えます。
その他、特定の者に事業を継がせようと考えている場合、事業用の不動産信託の受益権をその者に与えることにより、
遺言より確実に事業を継承させることでき、遺留分の減殺請求が事業用不動産に及ぶことを防げます。
不動産信託のほんの触りの部分についてご紹介しましたが、民法による相続に比べ、信託法による信託を上手に活用することで、
円滑な相続を行うことができ、未然に争族を防止することも可能です。
また税務面でも有利な点が少なくなく、相続対策を考える場合に信託という選択肢も検討されてみるのも宜しいかと思います。