高市政権がスタートして早20日になります。
国会、予算委員会で代表質問、一般質問に答弁されている内容を聞いておおよそ何をしようと考えているのか見えてきました。
国民が今一番望んでいる物価高対策については、アベノミクスを継承するサナエノミクスなるものを打ち出しているようですが、
もとを正せば今の物価高の原因を作った張本人がアベノミクスと考える人が多い中で、
果たして国民の賛同を得ることができるのでしょうか?
財政規律も後回しにするサナエノミクスの顛末は想像したくないかもしれません。
東京のオフィスの賃料高騰
東京の都心主要オフィス市場で、賃料が上昇傾向にあります。
2025年下期のオフィスのオフィス賃料は、昨年比で1割上昇したようです。
賃料の上昇に連動して空室率も低水準で、都心5区(中央区、港区、千代田区、新宿区、渋谷区)の空室率は、
2.68% にまで低下しており、需給均衡の目安になる5%を下回り、2000年6月以来の低水準になってます。
特に「八重洲~京橋~日本橋」「丸の内~大手町」といった人気のエリアでは空室が枯渇している状況です。
賃料の1割高騰は、CPI(消費者物価指数)の2%~3%を大きく上回っており、リーマンショック前以来の水準だそうです。
現在の賃料高騰の背景を見ていくと、以下の点が挙げられます。
(1) オフィス回帰・働き方の変化
コロナ禍でテレワークが進んだ反動として、企業がオフィス機能を再構築し、「都心立地で優れたスペックのオフィス」を求める動きが出ています。
「人材獲得競争」や「オフィス環境の刷新」が賃料上昇を後押ししているという指摘があります。 特に人材獲得には賃上げに加えて充実したオフィス環境が不可欠と考える経営者が増えていることも背景にあるようです。
(2) 供給のひっ迫/空室率の低下
新築供給が想定ほど出ておらず、既存物件も需要が高く空室消化が進んでいるため、空室率が下がって賃料が上がる構図です。
(3) 建築・維持コストの上昇
資材価格、人件費、設備・ITインフラへの投資が上がっており、ビルの建て替えやグレードアップを要する物件では、 コスト転嫁として賃料上昇の一因となっています。 既存ビルも維持管理にかかる人件費などがかさんでいることもあるようです。
(4) 投資マネーの流入・不動産市場の活況
オフィスビルが投資対象として再び脚光を浴びており、投資マネーの流入が賃料水準・物件価格を押し上げています。 米系大手投資ファンド、Blackstoneが、Tokyo Garden Terrace Kioicho(都心36階建てオフィス+ホテル複合)を、 日本のSeibu Holdingsから26 億ドル(約数千億円)で取得したという報道があります。
このような“超大型案件”は、都心のグレードオフィス(物流・商業ではなくオフィス用途)に対して世界的な投資家が参入している証左でもあります。 また投資家・株主が、上場企業に対して「保有不動産を売却・活用すべきだ」という圧力をかけており、 たとえElliott Managementが、Tokyo Gasの不動産資産に着目しているという報道もあります。
サッポロホールディングス が、恵比寿ガーデンプレイスを含むポートフォリオの流動化(売却検討)を進めているという報道がありますが、
築30年を超える恵比寿ガーデンプレイスタワーの賃料が 37円/坪~110万円/坪だというのは驚きです。
このように、企業が所有してきた都心オフィスや土地・ビルを投資用不動産として流動化させる機会が増えており、 投資マネーの受け皿が増えています。
賃料の上昇トレンドは当面続く見通しですが、今後上昇幅は減速する可能性があります。
例えば今後5年間で新規賃料が約+15%上昇という予測も出ていますが、供給が増えるタイミング(2028〜29年)には
“調整時期”として減速する可能性もあると考えるアナリストもいるようです。
企業の働き方・オフィス需要が変化し続けており、「単に都心の面積を増やせば良い」時代ではないのかもしれません。
今後住居用の家賃も上昇が暫く続くと予想されていますが、ニューヨークのように1LDKの家賃が50万円を超えるような時代がやってくるのでしょうか?
高市政権の物価高政策も心もとないように感じますので、一般庶民の生活はますます困窮するかもしれません。