GW中もインバウンドの来日が増加したようです。
昨日からから新型コロナウィルスが季節風インフルエンザと同じ感染法上の5類に分類されることになり、
インバウンドに対しての水際対策も撤廃されます。
今後は、中国人の個人ツアー客の来日も増加してくることが予想できますので、
インバウンドの数もコロナ前の水準に戻る日もそう遠くないかもしれません。
ここまでのインバウンドの主役は、中国人でなく韓国人です。
ちょうど今岸田首相が韓国へ渡り尹大統領と未来志向の首脳会談を行い、
長い期間ギクシャクしていた日韓関係がこの会談をきっかけに改善されていくのではと
大きな期待を抱かせてもらえるトピックスでもありました。
お隣の国だし、北朝鮮対応でも密に連携いていく必要がありますので、
今後の両国関係に大きな期待をしたいと思います。
日本の耐震基準について
先週末、石川県で震度6強の地震が発生し、その前日にも震度5強の地震が発生しました。
その他小さい震度の地震が日に50回以上も発生しており、住民の生活に大きな支障が出て不安な生活を強いられております。
2020年12月頃からこの周辺では地震が多発しており、今後1週間以内に再び震度6以上の地震が発生する可能もあり
今暫くは安心できない状況が続くものと思われます。
地震と言えば、今年2月にトルコ・シリアで大地震が発生し、死者は5万人を上回る大災害となりました。
地震自体は言うまでもなく天災でありますが、トルコでは大地震に応じた耐震基準があるにも関わらず
耐震基準検査を違法にクリアした建物が多く、なんと倒壊・全壊した建物は22万棟にも及ぶというから驚きです。
では、日本の耐震基準はどのように変遷してきたか見ていきたいと思います。
一般的に耐震基準を語る時に旧耐震基準と新耐震基準に分けますが、
これは1981年に建築基準法が改正され、この年の6月に施行されたため、
この6月を境に区別されます。
この6月以降に申請された建築確認の建物から新耐震基準と
それまでの耐震基準の元で作られた建物と分けて捉えるようになりました。
因みに旧耐震の基準ですが、震度5程度の揺れに対して、倒壊・全壊しない基準です。
この建築基準法の改正の契機になったのが、1978年に起こった宮城県沖地震で、震度5(マグニチュード7.4)の大地震でした。
この地震に因る建物の被害状況ですが、家屋の全半壊4,385戸、一部損壊が86,010戸と甚大な被害が発生し、
1981年の建築基準法の改正に至った訳です。
新耐震基準では、震度6~7程度の揺れでも家屋が倒壊しないことが基準となっております。
建築基準法が改正されて以降に発生した大地震を以下に列挙してみました。
1983年 日本海中部地震 マグニチュード7.7 最大震度5強
1984年 長野県西部地震 マグニチュード6.8 最大震度6
1993年 北海道南西沖地震 マグニチュード7.8 最大震度6
1995年 阪神淡路大震災 マグニチュード7.3 最大震度7
2004年 新潟県中越地震 マグニチュード6.8 最大震度7
2005年 福岡県西方沖地震 マグニチュード7.0 最大震度6弱
2007年 能登半島地震 マグニチュード6.8 最大震度6強
2008年 宮城・岩手内陸地震 マグニチュード7.3 最大震度6強
2011年 東日本大震災 マグニチュード9.0 最大震度7
2016年 熊本地震 マグニチュード7.3 最大震度7
2018年 大阪北部地震 マグニチュード6.1 最大震度6弱
2018年 北海道胆振東部地震 マグニチュード6.7 最大震度7
2021年 福島県沖地震 マグニチュード7.3 最大震度6強
2022年 福島県沖地震 マグニチュード7.4 最大震度6強
1981年の建築基準法の改正以降、大地震が毎年のように発生しております。
では、これらの震災でいわゆる新耐震構造の建物に被害は出なかったのでしょうか?
阪神淡路大震災の時の建物の損壊状況を見てみると、1981年までに建てられた建物(大半が旧耐震基準)は、
大破以上29%、中・小破37%ありました。
これに対して1982年以降に建てられた建物(大半が新耐震基準)は、
大破以上8%、中・小破16%でした。
熊本地震の時は、どうだったか見てみると、1981年までに建てられた建物は、
大破以上46%、中・小破49%でした。
1982年以降に建てられた建物は、
大破以上15%、中・小破もしくは軽微な被害54%でした。
この2回の大地震の損壊状況を見ると明らかに新耐震基準の建物は、旧耐震基準の建物に比較すると万全でないものの、
地震に対しての強度がかなり増したことが分かります。
ただ大破した建物がゼロになった訳ではありませんでした。
そしてこの大破した建物の多くが木造の建物でした。
阪神淡路大震災の建物の損壊状況から、2000年に建築基準法が改正され、耐震基準もより厳しくなりました。
この改正以降に建築確認申請した建物は、2000年基準の建物として、新耐震基準の中でも更に区別されています。
実際、熊本地震の時の新耐震基準の建物の大破以上15%のうち、2000年基準をクリアした建物は6%でした。
このように大地震が発生する度に耐震基準は見直され耐震基準も強化されたことで、
一定の効果が表れていることは確認できます。
ただ大破以上がゼロにならないのは、実際は耐震基準をクリアしていていない施工不良の建物などが一定数あった
ことが推測できるのかもしれません。
かつて耐震偽装問題が発覚して大事件になりましたが、これほど大掛かりな偽装ではないものの
構造計算書に不備がある建物なども存在しているのではないでしょうか?
トルコのように多くの建物が耐震基準を守っていない建物だという国とは次元が違うでしょうが、
実際には耐震基準をクリアしていない建物が存在している可能性もあることは認識しておく必要はあるかもしれません。